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「ちょ、ホンマに堪忍してや……っ!」
「……どうしても?」
「ッ、そんな顔をしても駄目なものは駄目や!」


火が出るんじゃないかって程顔を真っ赤にさせた謙也は必死に大きめな紙袋をこちらに押し付けてくる。
これ地味に高かったんに、そう残念そうな雰囲気を装って俺は口を尖らせた。
謙也は俺に甘くて流されやすいから、敢えて沈んだ雰囲気を醸し出して了承させる作戦だ。
ちらりと上目遣いで様子を窺えば案の定視線が泳いでいる。

よし、後一押し。


「絶対かわええのに」
「……」
「……せやけど謙也がそこまで嫌や言うんなら、これは兄貴にでも」
「ッ、なまえ……!」
「……ん? なに?」
「し、しゃーないから……つ、つつ付け、たるわ」


どんだけ吃るねんと思ったが、下手に突っ込んで臍を曲げられたらたまったもんじゃないので、大人しく紙袋を返還した。
ガサガサと音を立てて出てきたのは犬の耳と尻尾、を真似たもの。
猫耳ならぬ犬耳が付いたカチューシャを頭に装着しようとして謙也が首を捻った。


「なまえ、これ何なん?」
「あー何やイヤホン付きて書いとったな。普通に耳に差し込めばええんちゃう?」
「適当やな」


イヤホンがあるということはマイク的なものもあるのでは、と思い袋を漁っていたら後ろから服の裾を引っ張られた。
謙也の手にあったのはふさふさの尻尾とその愛らしさにそぐわない玩具。
表情はあからさまに狼狽えている。


「な、なあ、この尻尾……」
「ちゃんと付けなあかんで? 勿論自分で」
「……、変態ッ!」


きっと俺は凄く良い笑みを浮かべていたのだろう。
謙也は俺のこの顔に至極弱いらしく、真っ赤な顔に加えて目が潤み始めていた。

「……っ、ン……、ッぅ、」

尻尾を入れる準備として自分のものを弄りながら、ローションを使ってぐちぐちと後孔を解す。
たどたどしくも必死に一本二本と指を入れる謙也を横目に、俺は袋の開封に精を出した。
あ、マイクらしきもの発見。マイクと同じ袋にリモコンも入ってて……うん。電池も入ってんな。よし。
開封に手間取って、漸くマイクの電源を手にした時には謙也は頑張って尻尾を挿入しているところだった。


「う、ぅ……っは、入った、」
「謙也お疲れさん」
「ひ、! なに、声が……」
「音大丈夫? 五月蝿ない?」
「や、や、喋らんで……、ッァ」


頭から(作り物だけど)耳を垂れ下げたまま四つん這いでプルプルと震える姿はマジで犬。
意外。謙也って耳弱かったんだ。次から弄ってみよう。
でも可愛らしい外見とは裏腹に、こぷと先走りを溢れさせる性器は卑猥だった。


「謙也謙也」
「んッぅ、な……なに、っ」
「これ尻尾のリモコン」
「あ、っふ、リモ、コン……? え、?」


一々俺の声に反応しつつ俺の意図が汲み取れないのか不思議そうな顔をする。
そんな謙也ににっこりと笑いかけて右手にリモコンを握り込ませた後、まだ動いていない尻尾を掴んで軽く出し入れしてみた。
案の定艶やかな声を上げた謙也の中心は少しでも触れれば達してしまいそうに喜んでいる。


「俺何もせんから、自分でシて見せて?」
「……は、はああああっ?!! おっ、おま、何言うてん!!」
「シてくれへんの?」


こてん、首を斜め45度に傾けて可愛子ぶってみる。
謙也はほんま、ほんっっまに俺に甘いから、きっといけるはず。




「ぅ、ぁ……き、今日だけやからな!」
「おん! ありがとお」




よっしゃ! なんて心の中でガッツポーズ。ちょろすぎやで謙也。



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