short | ナノ
耳まで茹だった謙也はおそるおそる、だけれどどこか興味あり気にリモコンを取った。
ごくり、喉仏が上下に動いた音がここまで聞こえて緊張か興奮か分からない。
もしかしたら、俺が出した音かもしれないけど。
だってそれぐらい、目の前の光景に興奮している。


「……〜ッひ、ぁ! や、あかっ、ふぁ、ああ、あ、」
「かわい……」
「ぁ、ん! 声、ややぁ……ァッ、ン、ああ!!」
「うん、気持ちええな、謙也」


玩具の振動と呼応して上がる声が腰に響く。
俺の手で動かしたのは本当に最初だけで、その後は抜けないように添えているだけだ。
震えるこの玩具を抜き差しして奥をつついてやりたい。だけれど我慢我慢。
力むお尻から少し押し出された尻尾をぐっと中に押し戻せば、リモコンを握る謙也の手に力が籠った。
艶の増した嬌声。堪える様に丸まる足先。小刻みに震える四肢。限界は間近だ。


「んぁあ、あ、あ! っはあ、ゃッ……も、アカ、ッ」
「謙也、イってええよ。我慢せんで」
「! なまえ、ぁっ、は、……ぁ、あ、ああ――っ!」


耳と尻尾を振り乱して白濁とした精液を吐き出した謙也。
支える四肢にも自身の体重を支持する余力は残っていなかったらしく、力無くベッドにうつ伏せる。
しかして相手は所詮機械。
イッた余韻を気遣ってくれるはずもなく、なお振動は止まらない。

「や、ァ……! っは、……ン、ちょッ、ま」

謙也も謙也で止めれば良いのに、頭が回らないのかリモコンを握り締めたまま顔を火照らせてベッドの上に丸まって刺激をやり過ごそうとしてる。


「んぁ、あ! あ、か……んッ、また……っ」
「……ちょお早ない?」
「、やっ、てぇ! なまえがっ、ぅあ、……ッイく、むりっ、ひ、ぁあッ!」


うるうるとした視点が定まらない双眸が俺を映して、本日2回目の射精。
跳ねる身体に合わせて先端の窪みから精液が飛び散る。
涙と唾液で顔を汚している謙也に顔を近付ければ、目を閉じ甘えた風に擦り寄ってきた。
その目尻にキスを一つ。ふるり、伏せられた睫毛が揺れて涙眼が顔を覗く。
玩具は震えたままなのはさぞかし辛いことだろう。


「、ふぁ……なまえっ」
「ほんま謙也はええ子やな」
「っん、……なまえ、ぁ、ぅ……ッなまえの、が、欲し、ぁッ」


強請る謙也の頭と尻尾が入っている入口をするりと撫でれば素直に反応を示す身体。
やっと手を出してもらえると思ったのか謙也は嬉しそうに眼を細めた。
せやけど、ごめんやで。今日は入れたらんのや。


「んー、せやなあ」
「ッあ、!? や、なまえッ……動かさ、ッひ、とって、ぅ、ぁッ」
「今日はこのまま、な? 謙也はええ子やから、もっと頑張れるで」
「、うそッ、うそ……あ゛、んんッ、ぁ、ぁ、ややぁ……あッ、ややぁああ!」


振動し続ける尻尾を無造作に掴んで動かして、たまに前立腺に当たるようにぐりぐり押し付けてもやる。
そうすれば、相当刺激が来るのか俺にしがみ付いたまま声を引切り無しに上げていた。
リモコンの主導権は謙也にあるのに全く切る素振りはない。
まあバイブ止めても俺は止める気あらへんけどな。
俺が満足した頃、謙也は疲れて意識を飛ばしてしまった。



***





「信ッじられへん!!」
「せやからこの通り謝っとるやないか……」
「もう絶ッッ対やらへんからな!!」


ぷいっと顔を明後日の方向に向けて憤慨する謙也。
かわええなあ――――じゃなくて!
取り敢えずあのワンワンセットは暫くの間、陽の目は見なさそうや。




淡彩色の幻想
-幻想それは別名妄想とも云う-



(謙也ぁー……)
(……昨日みたいに意地悪せんなら……考えったっても、ええ)
(ありがとー!(……よっしゃ!))


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