プロローグ ※イーリアス視点 目覚めた。眼前に ちんぷんかんぷんでいる間に食べられてゲームオーバー、なんて格好悪いことこの上ない。寸前で避け、追いかけられるたびに逃げ惑い、叫ぶ。助けてくれるひとはいませんか。 必死に繰り出した言葉に反応してくれたのか、ひとりの女の子が僕とゴーレムの間に滑りこんだ。桃髪の美少女だった。担いだ大剣を振りおろされ――奴は呆気なく崩れ落ちていく。 「……だれ?」 「ぼ、僕はイーリアス。えっと、――あれ」 崩れ落ちていくのは命を脅かす魔物だけでなく、僕の記憶もなのだと気づいたとき、ああこれが記憶喪失ってヤツなのかと理解した。 理解はできても納得はできないから、これからどうしようと途方に暮れたのだけど。 [前][目次][次][小説TOP][TOP] [しおりを挟む][感想フォーム][いいね!] |