ふたり、猫のように

 寒いな。
 すんと鼻を鳴らして、朝の空気を肺に持っていく。生きてる、と直感的な言葉が羅列して数秒、重い瞼をこじ開けた。時間をかけて体を曲げ、近くに放ってあった携帯を探す。

「――ッ!?」

 携帯とは程遠い違和感が脚を駆け巡り、思わず悲鳴を上げてしまった。霧がかかっていた頭が一気に覚醒する。片足に纏わりつく熱に顔を顰め、乱暴に毛布をはぎ取った。そこには、安心そうに俺の脚を抱く緑髪の少女――
 誰。誰だ。――そうだ、三留小春。小春だ。俺の養子になった……。

「さむい」

 ゆるりと睫毛を震わせた少女は、寝惚け眼と一緒に恨み言を吐く。

「……ふ。はは、ははは。そうだね、寒いから、もう少し眠っていよう」

 それがなんだかおかしかったので笑ったら、小春はもう一度、かわいらしい恨み言をいったのだった。


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