小春+キバコ

「お前、そこのお前、そうそこの茶髪の今にもにゅ〜る食べようとしている人間のお前、なにしてんだ」
「にゅ〜る食べようと……」
「するな!! てめェ人間だろ!?」

 京さんの怒号なんてレアだな、いやそうでもないと思考をぐるぐる巡らせながら、茶間にお邪魔する。クッションにふにゃりと身を預けたキバコさんが、片手ににゅ〜るをぶらつかせていた。
 私に気づいて、傍に近づいて、困ったように口をすぼめる。

「俺、犬なのに。なあ、まずいことしたかな」
「人間の姿で犬用の食事をとろうとしたら、誰だって驚きますよ」


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