硝子に毒

 助けなくてもよかったのに。
 震えながら零した本人へ目を見開く。本気でそんなことをいっているのかと問えば、怖いとだけ言い残す。
 少女は俺を恐れていた。

「傷ついたなら本望でしょ」

 莉々、わかるもん。
 こどもらしい言葉遣いでこどもらしくない屈折を返す。
 ようやく取り得た答えは毒と化していた。


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