畢巳×小春
「三留さんのこと、俺、好きですよ」
なんてね、と冗談めかして宣われた言葉に、半開きになった口から抜け目のある吐息が漏れた。 カフェでお食事、案内された窓側の席のとなり――びっくりしたでしょと笑う畢巳くん。
「うん、びっくりした」 「アハハ」
そういうこと、軽々しく口にしちゃ駄目じゃないかな。 そう問えば、でも本心ではあるのでとサンドイッチ片手にうたわれた。
「結構、好きになれてきたんだ」
黒髪が隠しきれていない頬はどことなく、用意された林檎のお菓子と同じく熟れていた、そんな気がした。
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