キバコ+暁彦

おばかなことする2人が見たい様より、"駄菓子屋に入り、300円だけで何を買うか真剣に悩むキバあき"というお題をお借りしました。

「だがし、って、おかし……なのか?」
「うん、そう。安くて美味しいよ。いや〜、まさか、御空町にいっちょまえに駄菓子屋があるなんてびっくりだよ〜! 都会から近いとこにあるのは大抵淘汰されちゃうイメージあったのになぁ」
「うまい……のか? 十円ぐらいしかしないのもあるんだけど」
「美味しいってば。ま、フレンチとかに比べたら全然かもしれないけど」
「手持ちは三百円……」
「駄菓子王になれるね! キバコ!」
「……うん……」

 というわけで、キバコ、駄菓子兼駄菓子屋デビュー!
 遠足でのお約束である三百円をきっちり持って、付き添いの僕と近くの駄菓子屋にやってきたキバコは、現在陳列された棚の前で首を捻らせていた。
 すでにカゴの中には少量の駄菓子が入っている。イカのやつとかジャム煎餅とか、見たら涎が出るものばかりだ。

「この、小さくて粒々したものが容器に入れられてるのはなんだ?」
「これは……ミンツ菓子だよ。梅味じゃん、美味しいやつだ!」
「おいしい、のか……? 暁彦、これは?」
「これはレタス次郎! スナック菓子だよ〜、美味しいよ〜!」
「すなっく……京が食べているあれか? さくさくしたやつ」
「そ。それ」
「すなっくはおいしそう、だな……」

 京が食べてたのは、もっとお酒の肴になるような平べったいものだし、食感もかなり違うんだけど、まあ高カロリーなものは大抵美味しいから伝えなくてもセーフだよね。
 やがて、キバコは紙の箱に入れられている、一個ずつラッピングされた飴玉を手に取った。これ、舐めるとしゅわしゅわして最高に幸せになれるやつだ。単価が安いからたくさん買ったりしてたっけ。……あ、戻した。今度はチョコレート菓子。

「こっちも粒々してる。暁彦、これは?」
「麦チョコだね!」
「麦チョコ……? 麦にチョコをかけて食べるのか? 甘党のための酒の摘まみ……??」
「や、うーん、違うと思うけど……キバコってば、見てばっかりで全然カゴに入れてないじゃん! ガンガン行こうよー!」
「暁彦がなんでも美味いっていうから迷ってるんだよ」


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