律×小春
「ん」
半ば真っ白になった頭で、突然突きだされたクレープを視界に入れる。 私から顔を背けながら、早くしなよと急かすように律くんが囁いた。
「早くって、なにを?」 「お前、鈍感? これも美味しそうだっていったのは小春でしょ」
狐色の髪に隠された頬は、どことなく赤く染まっているような気がした。
「一口、先に食べろって言ってるの」 「……いいの?」 「これは命令。いい、じゃなくて食べるんだよ」
律くんは私の方を向くと、クレープをより近く突き向けてくる。
「デート、してるんだから……これぐらい、許す」
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