充×ルビア 「みつる、みつる。なにしてるの?」 じゅわじゅわと音を立てる、黒に近い銀色にぴかぴか光るなにかと格闘しているみつるの近くに寄り、その銀色のなにかを見つめつつ、みつるを見つつ質問した。 真ん丸な器に細長い棒がくっついたような形をしているなにかの中で、人参やらピーマンやら、色取り取りの野菜たちがはしゃいでいる。ルビアはその器具の正体を知らない。だから興味を抱き、それなあに、と無邪気に問いを重ねた。たどたどしい声音にいつもなってしまうのがなんとなく嫌だけど、こどもなのだし仕方がない。 「フライパンだよ」 「ふらいぱん? ……ふらい」 「揚げ物じゃねぇからな」 "ふらい"といったらエビフライなりなんなりを思いつくだろうし、実際ルビアも思いついた。 みつるはルビアよりもずうっと大人だから、ルビアの考えていることがわかるのか、苦笑いを浮かべつつ訂正されてしまった。 エビフライじゃないんだ。残念。 「こうやってな、料理するための道具なんだよ」 「りょうり……。ルビアもやるー!」 「重いぞ」 「どのくらい?」 「うーん……小春が困るぐらい」 [前][目次][次][小説TOP][TOP] [しおりを挟む][感想フォーム][いいね!] |