流星
よくわからないなにかが引き裂いて嬲って貫いて大きな黒い口を開けて――
「うまそうだなあ」
口が伸びて、はち切れた風船みたいに広がった頃、無意識に漏らした本能に唇が震えた。 なにを言った。オレは今なにを口にした。なにを、誰を、美味しそうだと思ったのか。 自分の中に怪物が眠っているような気がして、それが鎌首を擡げているような気がしてならない。吐き気と恐怖に襲われたことを、ごりごりと骨が軋むまで首を振ることで誤魔化した。 ああ、でも、
「すべて食べてしまいたいなァ」
涎が、
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