ラタトスクの青年に詰め寄られる話

■背景
友達と二人で都会のハロウィンイベントに出かけてきた貴方。
そんな貴方が出かけるときの約束を破ったことを知り、彼が詰め寄ってきて……。
(元キャラ:アルジャーニャ・G・ラダー)



(貴方が扉を開ける音)
お嬢、おかえりー。
ハロウィン楽しかった?

(彼が鼻を嗅ぐ/このときに貴方にまとわる裏通りの臭いに気づいている)
お〜、この時期特有の甘い匂い……。
これは……クッキーとチョコ?
どう、お嬢。当たってる?

……やっぱり。
って、うわっ、ははは!
お嬢〜、お菓子買いすぎだって!

こぼれそうなぐらい買っちゃってさあ。
消費期限くるまでに食べきれるかな……。

("本当に鼻がいいね"と貴方)
……ん、そーだろ。
鼻だけじゃなくて、目にも自信あるぜ。
オレ、ラタトスクだから。

人間そのものに見えるだろ?
ところがどっこい、正体は栗鼠!
走り回るのが大得意!
……ってね。

……それにしても。
無事に帰ってきてくれてよかったよ。

友達と一緒っていっても、お嬢を離れさせることには違わなかったからさ。
待ってる間、不安で不安で仕方なかった。
お嬢が変なことに巻きこまれていたらどうしようって。

……覚えてる?
これだけは守ってほしいって約束、しただろ。
お嬢のこと疑いたくはないんだけど……。
守ってくれた?

("もちろん"と貴方)
……そっか。
危険なことしてないみたいで安心だよ。

それじゃ、そろそろ手、洗わないとな。
このままじゃばい菌が増えちゃうぞ〜。
だから洗面所、いこう。

(元気よくうなずく貴方)
……よしっ! いい返事!
いってらっしゃい。
あ、お菓子、そこ置いといて。
オレが片付けとくよ。

(遠くから)
……お嬢〜?
駅の近くの、石畳が続いてるとこ、あるだろ。
そこのカフェで食べたケーキ、おいしかった?

("おいしかった"と貴方)
…………へえ。

(彼の質問がおかしなことに気づいた貴方/貴方がいる洗面所へ歩いていく彼)
上機嫌な声だったよ。
本当においしかったんだな、それ。
……裏通りは危ないからいっちゃだめだっていったのに。

"なんで知ってるの"?
それは機械を――じゃなくて。
さっきいったろ?
オレはラタトスク、鼻が利くんだって。

……お嬢が帰ってきたときから、ずっと臭ってた。
裏通りの臭いがさ。

("裏通りだと思っていなかった"と貴方)
嘘ついてないのはわかってる。
本当にすぐ近くに駅があるし、人通りから外れるといっても少しだけだし。
お嬢にとって、そこは"裏通り"じゃなかったんだろ?
……でもさ、そういう油断がお嬢のこと脅かすんだ。

"ちょっとぐらいなら大丈夫"からはじまる犯罪なんてたくさんある。
ほんの少し運が悪かったら、凶悪な事件に巻きこまれることだってある。

お嬢や普通の人にはわからないだろうけどさ、案外"そういうの"って身近なんだぜ?
今も、お嬢がいたような場所で、誰かが危険な目に遭い続けてる……。

友達がそういう輩とグルだったら。
カフェの飲み物に変な薬でも盛られたら。
お嬢たちよりも多い人数に囲まれたら。

(貴方を壁ドンし、手首を掴む彼)
一瞬で、こう。
こうなる可能性があったかもしれないんだ。
……わかる?

手、動かないだろ。
振りほどいてみて。
オレは大丈夫だから。
……ほら、びくともしない。

(手を離す彼)
"こう"なったら嫌だって思って、約束事決めたのになあ……。
なにもなかったとはいえ、危機感が薄くて心配だよ。

本当はオレもついていきたかった。
友達っていったって同年代だろ?
そんなの全然安心できない……!
実際裏通りにいっていたわけだし。

……欲をいうとさ。
お嬢のいくとこ全部についていきたいし、いっていいとこと駄目なとこを決めたりしたいんだけど、そんなの束縛が過ぎるだろ。

お嬢に嫌われるのは嫌だ。
お嬢だって嫌だろ?
…………でも、それぐらい心配で……。

……だから、さ。
次はもう少しきちんと伝えるから、約束、ちゃんと守ってほしい。
……駄目かな。

("そんなことない"と貴方)
……守る? 本当?
や、そんな顔しなくていいんだって。
お嬢が約束してくれるってだけで嬉しいんだからさ。
……ん〜。

(貴方を洗面所の扉へ向かせ、背中を軽く押す彼/このときに小型発信機をつけている)
……手、洗い終わったろ?
そろそろ戻ろう。なっ。
ごめんなお嬢、怖い真似して。
二人でお菓子パーティーしようぜ!

(彼の様子を案じながら先を進む貴方/発信機のノイズと、発信機が貴方の足音を拾う音)
…………お嬢……ごめん。
カメラしかけたりだとか、こんなの駄目だってわかってるんだけど。
でも、オレ……我慢できない……!

……また友達と遊ぶっていっていたはず。
それが終わるまで、お嬢のこと見守らせて。
万が一ってこともあるし……。

…………お嬢……。
お嬢はオレが守るよ……。
お嬢を悲しませる奴ら全員、オレが始末する。
だからずっと笑顔でいて。
……お嬢、お嬢……だいすき……。


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