性格が正反対な双子の兄弟に耳かきされる話 ■背景 隣人である青年の弟のお見舞いにやってきた貴方。 弟が出かけていると聞かされ、戻ってくる間二人で話をしていたところ、兄に耳掃除をされることになり……。 (元キャラ:綾儺鐵/綾儺晴馬) ■設定 共通:双子の大学生。兄は人間で弟は幽霊。 兄:誰にでも敬語を使う礼儀正しい青年。貴方の隣人。 弟:軽い口調で話すやんちゃな地縛霊。訳あって病院に封じこめられている。 ※ ■兄 (病室に入る貴方) あ……こんにちは。 お見舞いにきてくださったのですか? いつもありがとうございます。 弟もきっと喜びます。 ("弟さんは?"と貴方) えー……と……。 ちょうど病院内を回っているところで。 もう少ししたら戻ってくるはずなので、それまでお待ちいただけますか? ……ふふっ。 ええ、本当、元気ですよね。 しばらく話でもしましょうか。 ("どこを見て回ってるんですか?"と貴方) 弟がどこにいるか、ですか? うーん……。 本棟から別棟まで、隅々まで見るらしいですから、ここだと断定するのは難しいのですが……。 そう、ですね……。 最近は、小児科の近くで暇を潰しているようで。 ですから、そのあたりにいるのではないのでしょうか。 子供たちを観察するのが面白いのですって。 (弟の真似をするように貴方を覗きこむ兄) こう、限界まで寄って……じーっと……。 眺めているらしいのです……が……。 …………あの……。 失礼とは存じますが、耳に違和感を覚えたり……しませんか? いえっ、その……耳、が。 汚れているかなあ、なんて……。 ええ、耳です。 掃除されていますか? ……あ、やっぱりしていないのですね。 お話ばかりするのもなんですし、日頃のお礼に耳掃除を、と思ったのですが……。 耳かき棒、ありませんものね……。 ("偶然買ってきていた"と貴方) あるのですか……!? ……本当だ。 なら、お借りしてもよろしいでしょうか。 それとも、ボクに掃除されるのは……お嫌いですか? ("そんなことない"と貴方) ……ありがとうございます。 では、ベッドにどうぞ。 大丈夫ですよ、弟の許可はとってありますから。 さ、向こう側、向いて……。 (右耳/耳かき開始) 痛みを感じたら、すぐに仰ってくださいね。 今は大丈夫そうですけれど……。 傷つけてしまうのは本意ではないですから。 ("黙っていられるとなんだか照れる"と貴方) …………あ。 す、すみません。 集中してしまって、つい……。 なにかお話いたしましょうか。 えーっと……そう、だなあ……。 ……弟と仲良くしてくださって、ありがとうございます。 弟だけでなくて、ボクとも……。 いつも挨拶していただいて、感謝しかありません。 ("隣人なんだから挨拶は当然"と貴方) ふふっ、そうですね。隣人ですものね。 そうでなくとも、挨拶は当たり前にするものですよね。 ……ですが、本当に嬉しいのですよ。 貴方がボクに関わってくださることが、どれほど素敵か……。 ("素敵?"と不思議がる貴方) ……ふふ。わかりませんか? 貴方が引越し祝いを持ってきてくださったあの日、ボクは……。 …………ここから先は、秘密、です。 ふふ、ごめんなさい。 どうか内緒にさせてください。 (しばらく耳かき音/環境音、鼻歌、子守唄等を入れてもいいかもしれません) 梵天、入れさせていただきますね。 (梵天の音) ふうっ……。 終わり―― (弟が扉をすり抜ける形で入ってくる) ■弟 たっだいま〜。 なー、いるー? 帰ってたら恨むぞー……いた! あっ、あんたもいんの? お見舞い? マジ? サンキュー! ■兄 おかえりなさい。 今日はどうでしたか? ■弟 特になにもー。 新人の看護師がすっげーテンパってたよ。 あとは売店でお菓子選んでる子供を見たぐらい。 昨日とほぼ変わりなし! あー、つっまんねー! つーかさ、"お見舞い"っていうけどさ。 退院とか許されねっかなー! ……ま〜、無理なんだけどな! ここから出れないし。 それに俺、死んでるもん。 お偉いさん方全員、俺をここに縛りつけておきたいだけだろ? 地縛してくれたら大助かりってな。 入院退院どうこうもさー、見えないなら患者にすらなれねーっつの! あ〜〜、外に出た〜い! 地縛霊じゃなくて浮遊霊になりた〜い! (唇を尖らせる弟) あ〜あ……ん? 二人とも、なにしてたんだよ。 耳かきじゃん、それ。 ■兄 ええ、そうですよ。 貴方が病院内を散策している間、彼/彼女の耳掃除をしていたんです。 今、右耳が終わったところで……。 ■弟 ふ〜ん……。 個室で二人きりのシチュエーション……。 なんかえっちじゃん。 ■兄 "えっ"……!? ■弟 な、な、俺にもやらせてよ。 霊術使えば耳かきの一本や二本、軽く動かせるぜ? 悪いようにはしないからさ〜! ずーっと暇なんだよ、珍しいことやってみてーの! (承諾する貴方) マジ!? へへ、やりー! てわけで、いいよな? 左、俺にやらせて。 ■兄 わ、わかりました。 ……掃除させてくださり、ありがとうございました。 またボクのこと、頼ってくださいね。 (弟が耳かき棒を操りながら貴方の近くへやってくる) ■弟 じゃ、しますかねー! 俺のほう向いて? 俺の顔だけ見てて。 (左耳/耳かき開始) かりかり〜っとな……。 やべ〜ぐらい耳垢あんじゃん。 掃除しがいがあんね〜。 ……ちゃんと耳かき操れてっかな? ヒューマンエラーって絶対あるだろ? なら、ゴーストエラーもつきものじゃん? "人生"のぜ〜んぶ暇だかんさー。 霊術の扱い、もう完璧って感じだけど。 "グサッ"はなくても"ガリッ"はあるかも。 そうなったら許してくれよな。 ……ダメか。 …………なるべく善処しまーす。 (しばらく耳かき音) ん、で〜……。 梵天? だっけ? 耳、ふわふわするぜ。 (梵天の音) ……っし、終わり! 上手く操れてよかった〜。 (貴方の両方の耳を覗きこむ弟) ん、どっちも綺麗綺麗ってね! 大満足だろ? へへ、だろ〜? (二人にお礼をいう貴方) ■兄 貴方の助けになれてよかった。 お礼をいうのはボクたちのほうですよ。 ボクたちと仲良くしてくださり、ありがとうございます。 ■弟 俺からもいわせてよ。 話し相手になってくれてさ、本当に嬉しい。 俺たちにとってもあんたにとっても"win-win"だし? これからも友達でいよーぜ! ■兄 win-win……? ■弟 だってそうだろ? 双子だぜ。 生者同士なら珍しくねーけど、生者と死者! レア度高いよ〜? そんなレアリティSSRの俺たちと、毎週喋れちまうんだ! ……てわけで来週もきてくれない? だめ? ■兄 もう、彼/彼女にも都合というものがあるでしょう? ■弟 えー、でもさあ……。 (承諾する貴方) ■二人とも 兄:……よろしいのですか? 弟:……今、いいっていった? 兄:わあっ、本当ですか? 弟:マジ? やったね! 二人:……ふふっ。 ■兄 でしたら、また来週。 ■弟 くたくたになるまで喋ろうぜ! ■二人とも 兄:お待ちしておりますね。 弟:待ってるからきてくれよ! [前][目次][次][小説TOP][TOP] [しおりを挟む][感想フォーム][いいね!] |