村の祠を壊した貴方が中年の警官に守ってもらう話

■背景
とある村の宿に向かっていたが、迷ってしまった貴方。
そんな貴方に一人の警官が声をかけてきて……。
(元キャラ:納守柳楽)



(郊外)
……あれっ。
おーい、そこのお嬢さーん!
こんなとこでなにしてんのー?

(貴方に駆け寄る彼)
ここ、このあたりの子だって遊びにこないよ?
っていうか、道が凸凹してて危険だし……。
もうすぐ雨が降るでしょ、そうなったらもっと危険だから村に行ったほうがいいよ。

(彼に何者なのか質問する貴方)
……ぼく?
ぼくね、警察!

(マップを広げる彼)
普段はここで仕事してるんだけど、いろいろあってねー。
しばらくお手伝いしてるの。
もう少ししたら帰れるかなってところなんだけどー……どしたの、すっごい笑顔だねえ。

(迷っていたことを告げる貴方)
あ、道に迷ってたんだ?
そっかそっかー。
どこに行こうとしてたの?

あ〜、あそこの宿に泊まるのね。
村の中にある……。
そこはねえ、山の幸っていうの?
キノコやらジビエやらがおいしいんだよ〜!

で、そうそう、宿への行きかただけど。
あれ、見える?
赤い頭巾かぶったお地蔵さん。
双子地蔵って呼ばれてるんだけど、そこを右に曲がった……ら……。

(冷や汗を浮かべる彼)
…………あっれえ……?
おじさんの見間違い、かなー……?
なんか、野ざらしになって……。
っていうか、あからさまに見るも無惨っていうか……!

……あのお地蔵さんね、祠の中に祀られてたんだ。
地蔵堂っていうんだけどね。
きちんと祀って、このあたりに悪いことが起きませんようにーってお願いしてたんだけど。

……めっちゃくちゃ壊れてない?
祠なんか影も形もないし。
気のせい?
……気のせいじゃないよねえ。

(焦っている彼)
……どうしたものかな。
とりあえず、上に連絡して……。
ぼく一人で対処してもいいけど、ちょーっと難しいかも……。

(不穏な雰囲気を感じた貴方に)
……あ、ごめんごめん!
お嬢さんには関係ないことだから。
お地蔵さんとこを曲がってまっすぐ進んだら看板があるから、それ見たら一発だよ!

ほんとなら案内しなきゃなんだけど、おじさん忙しくなっちゃった。
ごめんね。無事に到着することを願ってるよ。

(難しい顔をする貴方)
……あれれ〜、どうしたの?
難しい顔しちゃって。

("実は私が壊した"と話す貴方)
…………えっ。
え、えーと?
歳かな〜?
耳が遠くて、よく……。

……ほ、本当にきみが壊したの?
あれ……。

焦りすぎて周りが見えてなかった……。
……あ、あはは〜……。
ずいぶんなドジっ子ちゃんだねえ……。

("壊したらいけないものですよね"と貴方)
あらら、しょげちゃった?
そうだねえ、お地蔵さんだもん。
普通に考えても、傷つけたら罰当たりだーってなるよね。
んー、でもね……今回のは事情が違ってくるというか……。

そっか〜、きみが壊しちゃったんだあ。
そっかそっか〜……。
うーん、どーしよ……。

懐いてくる性質のモノだったっけねえ……。
なら、そうだねえ、この子がいないと話にならないか。
……あんまし一般人を関わらせたくないんだけど。
こればっかりは仕方ないかあ。

(真剣な声音で)
……今から大事な話をするから、ちゃーんと聞いてね。
あのね……このままだと、きみ、死んじゃう。
冗談じゃない。これは事実だ。

(困惑する貴方)
ごめんね、急にこんな話して。
オカルトみたいだけどね、実際見えないだけで、幽霊や妖怪ってのはいろんなところにいるんだわ。
……ぼくたちは、"それ"を怪異と呼んでいる。

祀られていたお地蔵さんね、ここで暴れてた怪異を大人しくしてくれてたの。
地域一帯を守ってくれていたわけね。

祠だけ破壊したんならまだどうにかなったんだけど、お地蔵さんまで壊しちゃったから……。
わる〜い怪異を止めていたものが、全部なくなっちゃったわけで。

あの祠、だいぶ劣化が進んでたからねー。
新しい封を施さないと危険かなってことで、ぼくが遣わされたわけなんだけど。
その前に怪異が暴れ出すほうが早そうだ。

……でね?
その怪異、結構しつこいやつなんだ。
簡単にいうと、封に関連した縁を持つ人間にしかどうにかできない。

件の怪異と関わった者の血縁者とか。
お地蔵さんを作った一族とか。
封に直接触れてしまった者、とか。
……お嬢さんのことなんだけどね?

え〜っと……。
だから、ちょーっとだけ囮になってもらえたらなーって……。

(危険な目に遭うのだろうかと不安がる貴方)
あ、だいじょーぶだいじょーぶ。
きみに怪我はさせないよ。
おじさん、結構強いのよ?
任せてちょうだいな。ねっ。

(頭を下げて"よろしくお願いします"といった貴方)
……ん、こちらこそよろしくね〜。
なにを隠そう、おじさんも怪異なんでね。
悪巧みしかできないもんには負けないよ〜。

("貴方も?"と驚愕する貴方)
な〜んてね、冗談冗談。
本気にした?
……冗談じゃないだろって?

さあ、どうだろうね?


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