動機について シキリはある日病にかかってしまった。治ることが難しい病だった。その事実に落胆したシキリは、その衝動のまま人間の意識をバーチャル空間に移動する技術の基礎を作りだす(どんな形でも生きれたらいいと考えた)。その後考えが変わり、自分がどうあろうとも"今"を精一杯、不満足なことがないように生きるべきだと思い直し、その考えをテレビ等で披露する(そのときのテレビをアオイが見、アオイの人格構成に関わった)。 ユウキは妻シキリの病を治すべく奔走していた。シキリを綺麗な病室に隔離し、いろんな方法を探った。シキリの病を治すことに専念した結果、こどもであるクロエとロクに構うことがおざなりになってしまった。シキリが表舞台に出てこない、亡くなってしまわれたのだろうか――きっとそうだ。その言葉を周りから聞いたロクはユウキを問いただす。けれど言葉が詰まって、肝心なこと(シキリは亡くなったのか?)を口にできなかった。そのため、ユウキは"シキリの病を治そうとしているのか"という質問だと勘違いし、その質問に肯定した。 ロクはこのときのユウキの冷徹な返答(クロエたちにかまけられず簡単に返事しただけ)に憤慨し、10歳のころより幼いころクロエと毎日集まると約束した場所に逃げる。クロエを待つが、クロエはシキリが隔離されたことに泣いていた自分を(慰めるために)遊びに誘ったイノリと行動を共にしていたためやってこなかった。クロエに約束をやぶられ、ユウキにも失望したロクは黒宮家から逃げるように白樺家の養子となり、クロエたちと物理的な距離を置く。その後、ユウキの奔走の末、シキリの病は完治した。 シキリを亡くしたと思いこんだロクは、ユウキのあの冷酷な顔を歪ませてやりたい(後悔しろ)と強く思い、アズサに協力を持ちかけてデスゲームを主催することとする。クロエを何度も絶望させ、間接的にユウキを悲しませるために。クロエとその友人であるイノリ以外のメンバーは適当に決めたもの。 クロエもまた、イノリの病が完治するまで時間がかかり、その時間の中ユウキにぶっきらぼうな態度をとられ続けた結果、人間不信等に陥ってしまう。大学生になった際は一人暮らしをし、大学に通うも恐怖により引きこもってしまった。父親のことを思い出したくなく、シキリの旧姓である灰田を名乗るクロエ。そんなクロエを、イノリが時折パフェを食べにいく口実で外に連れだしていた。クロエもイノリと一緒ならがんばれると思っていた。 [前][目次][次][小説TOP][TOP] [しおりを挟む][感想フォーム][いいね!] |