本編/学園長

 メルフィがユウをなにかときにかけているのは周知の事実であり、監督生に何かあればすぐに飛んでいく。そんなものだから、一部からはオンボロ寮のモンペなどと揶揄されていた。本人はそれで厄介ごとを防げれるのならと、あんまり気にしていないようだが。

「もしユウさんに恋人が出来たら、貴方ってばひどく荒れそうですよねぇ。」

 形式上二人の後見人となっている学園長は、娘の結婚に反対する父親のようになったメルフィを思い浮かべる。NRCはもちろん、RSAタイプの男でも突っぱねそうだ。

「確かに誰でも彼でも祝うつもりはありませんが、だからってむやみやたらに反対するつもりもありませんよ。」

 それに対しメルフィは心外だとありありと顔に出す。確かに彼女はユウを家族のように思っているが、恋人でも夫婦でもない。心配はしていても自分の感情だけで反対する程の権利はない。

「それにきっと、私よりユウの方が人を見る目もあるでしょうし。」
「そうでしょうか。ユウさんはチョロ、人がよすぎると私は思うのですが。」
「学園長が言ったんでしょう。あの子には猛獣使いの才があるって。」

 これまでの事件でもユウを甘く見て計画をぶち壊され、次の事件では逆に利用される例がいくつかあった。周囲を巻き込み、最終的に自分の利とできるのは、ユウに本質を見抜く才がある故だ。恐ろしいことに本人にその自覚はなく、周囲も誘導されたのではなく自己決定によるものだと思っている。NRCで近しい人種にあげられるのはトレイだろう。もっともあちらは自覚済みだが。

「だから彼女が選んだ人なら、少なくともユウにとっては悪い人ではないと思うんです。もちろんそれが無理強いされたものなら反対しますけど。」

 本人が幸せそうならそれでいいし、メルフィもわざわざ邪魔するつもりはない。彼女だっていつまでもユウを守ってあげられると限らないのだ。信頼できる相手は複数いるに越したことはないだろう。

「メルフィさんのことですから、ユウさんのことは自分1人で守ればいいと思っているのかと考えていましたが……。これはすこし意外でしたね。」
「学園長の中のイメージが随分偏っていることは分かりました。」

 顎に手を寄せる学園長にメルフィは半目となる。生憎独占欲と愛を履き間違えるような恋はしていない。

「ユウの人生はユウのもので、彼女の幸せがなんなのか本人にしか決められません。それなのに無責任に彼女護りきるなんて言いませんよ。」

 例えそこに自己の存在意義を見出しても、それを押し付けるきは毛等もない。ユウ本人が閉鎖的庇護を求めるならそれに務めるが、メルフィに出来るはせいぜい手助けなのが現実だ。

飼いならして、××


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