本編/エース

 監督生がナイトレイブンカレッジに入学するにあたり、魔力がない人間がどうのこうのと話題になったが、オンボロ寮の二人組にはそれ以前の問題があった。

「なあ、一応聞くけどユウもメルフィも女子……、なんだよな?」

 そもそもナイトレイブンカレッジは男子校である。それなのになぜ2人が闇の鏡に選ばれたのかとエースが尋ねるが、そんなの自分が知りたいぐらいだとメルフィは返す。

「女の子みたいな男の子もいるんだし、逆があってもいいでしょ。」
「ぱっと見ただけだとメルフィよりエペルの方が女子っぽいもんな。」
「八倒されたいわけ。」
「お前が先にいったんでしょーが!」

 やんややんやと言い合う二人だが、お互い本気ではないことは分かっている。それにエペルが下手な女子より可愛らしいのはメルフィもかねがね賛成だ。デュースとグリムが最初勘違いしただけはある。

「せめてスカートぐらいはいたらどうなんだよ。数少ない女子だってのに、二人とも俺達と同じ制服着てるしさ。」
「男子校に女子用の制服があるわけないでしょ。」

 俺達に心の潤いをくれとぼやくエースにメルフィは蔑んだ目を向ける。
 ともかくそんな理由でユウとメルフィは計らずとも男装するはめになったというわけだ。これが思ったより様になっており、かわいらしい少年に見えないこともない。そのおかげで何故かエペルやリドル達にも女性説が流れたのはここだけの話である。二人の容姿を鑑みればわからないこともないが。

「せめて休日だけでも女子らしい服装とか……。」
「しないって。スカートは作業がしにくいし。」
「だよなー。」

 せいぜいショートパンツだと返すメルフィにエースは知ってると頷く。休日は採取に調合にと、錬金術に没頭している彼女らしい。
 もっともショートパンツにニーハイスタイルもなかなかにそそるものが、それを口にすれば例の鉄球で潰されかねないので、エースは大人しく黙っておいた。

Non sexual


.
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -