本編/イデア

※夢主は直接登場しません

 これまでの話にも監督生が腐女子であることは出てきたが、彼女のオタク趣味はそれだけに限らない。夢小説だって嗜んでいたし、百合や桜も普通に好きだし、純粋にゲームや漫画も好きだ。なんならホラー系TRPGもしたことがある。
 そんな彼女がボードゲーム部を耳にすれば飛びつくのも当然で、話を聞くやいなやコミュ障の巣窟に突撃した。彼女は近年よく見られるようになったアクティブ系オタクである。
 最初こそ人見知りの激しい部長とギクシャクしたが、今ではすっかり馴染んだある日のことだ。

「メルフィは私の母になってくれるかもしれない女性だと思うんです。」
「ユウ氏、今日は何徹目でござるか?」

 某仮面の戦士のような迷言を言うユウにイデアは何言ってんだこいつという目をむける。それって女子が言う言葉か。いや、男子であってもドン引き発言であるが。

「確かに昨日は小テスト対策にちょっと夜更かししましたけど、別にストレスマッハから来た狂言ではありませんよ。」
「説得力皆無ー。」

 確かに腐女子モード炸裂しているときと比べ冷静だが、それでも変態じみた発言であることに変わりはない。

「真面目な話、この世界に来てからメルフィには何かと助けてもらってばかりで。もし彼女がいなかったら今よりずっと苦労していたと思うんですよね。」
「確かにメルフィ氏は君に結構甘いよね。」

 学年が違ううえ、ひきこもりがちなイデアはメルフィとあまり話したことがない。そもそも意識が高そうなメルフィは陽キャほどではないが近寄り難いものがあるのだ。それでも学園の数少ない女子生徒というだけあって、例え画面越しの世界でもその存在感は確かなものだ。

「料理だって元の世界では親に任せっきりだったから、メルフィから教えてもらいましたし。」

 もっともメルフィも料理はさほど得意ではなく、練習を重ねた今はユウの方が上手なぐらいだが。お昼のお弁当を作るのはもっぱらユウの役目である。

「流石にメルフィみたいに動物を捌くのは無理ですけど。」
「現代でそんなことが出来るのは少数だと思うよ……。」

 錬金術などの授業で解剖実験を行うこともあるが、ツイステッドワンダーランドでも本職でもなければ既に解体処理をしたものを買い求めるのが主流だ。それが彼女の故郷では違うというのだから、どんな原始社会なんだとツッコミたい。そもそも魔物跋扈する世界ってファンタジー系RPGかよ。

「それにメルフィが愚痴をこぼすことって滅多にないんですよね。いつも私の話を聞いてばっかりで。」
「魔法も使えないユウ氏が頼りないからでは?」
「そういうところだぞ、イデア・シュウラド。」

 厭味ったらしい笑みを浮かべるイデアをユウは睨みつける。事実だがその態度が気に入らんのじゃい。

疑似家族


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