Patriot 46
遺跡から得た手がかりによると、レティスの住まう島に行くには正しい地図が必要なのだという。また余所で得た情報によると、かつてこの大海を制覇したキャプテン・クロウも通常ではたどり着けない場所に行ける地図を持っていたそうだ。この二つが同じものだと限らないが、東の大陸の橋の下には怪しげな洞窟があるのだという。 それらの情報を頼りにたどり着いたのは、リーザス村近くの関所下の洞窟だった。
「こんなところに洞窟があったなんて私も知らなかったわ。」
これにはゼシカも驚いた様子で、海賊のものらしき穴倉に目を丸くする。入口には鍵が掛っていたものの、メディに託された鍵を使えばあっさりと開いた。 さあ早速中を捜索だと身を乗り出したときである。先ほどまで穏やかだった海が大きく水しぶきをたてはじめたのだ。
「げ、ゲルダ!?」 「どこかで見た顔だと思ったら、ビーナスの涙を譲ってくれた親切な御一行じゃないか。」
振り向くとパルミドで世話になったゲルダが船に乗ってやってきたのだ。驚いて声を裏返すヤンガスに、彼女はわざとらしく言う。なんでも彼女もキャプテン・クロウの宝を狙いにやってきたのだという。
「見たところあんた達の目的も同じみたいだね。面白いじゃないか、こうなったら早いものがちってことだね。」 「あら、でもこの先も魔物が潜んでいるみたいよ。」
強気なゲルダにハイネがそういえば、彼女は鼻で笑う。
「へえ、まさかあんたがあたしを気づかうなんてね。でも見くびってくれるんじゃないよ。あたしの忍び足には魔物も気づきやしないさ。」
そういって一歩でも早く言わんとばかりにゲルダはアジトの奥へ足を進める。ハイネの隣でヤンガスが面倒なことになったと頭を抱えていた。
アジトにはキャプテン・クロウが残したものであろう日記も残っており、彼がレティスの住まう島に辿りつくための地図を持っていたのは本当のようだ。どうやら年老いて旅立つこともできなくなった彼は地図を宝物庫に封印したようである。これは何が何でも手に入れなければならない。 だというのに間が悪いのか、エイト達がアジトの仕掛けを解く度にゲルダが先に行ってしまうのだ。これでは彼女に先を越されてしまう。 ことはいつだって思い通りいくと限らないのが現実だ。しかしそれはエイト達だけに当てはまるわけではない。
『我が名はキャプテン・クロウ。我が財宝を狙う者よ、汝にはそれを手にする資格があるものか?』
宝箱を守る海賊王の亡霊が現れたのである。 女盗賊らしく敵の隙を狙うのが得意なゲルダだが、真っ向勝負は不得意だ。彼女はなすすべもなく、跳ね飛ばされる。
「ゲルダっ!くそ、弱いくせに無茶しやがって!兄貴、いくでげすよ!」
光の地図を得るため、ゲルダを助けるためにもヤンガス達も武器を構えた。
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