きっと俺は自分が思うより欲張りで
美奈子をすごく困らせたいんだと思う。
互いを好きだと誓いあったあの日から数日後
一流大学に合格したという美奈子の笑顔はすごく嬉しかったけど
同じ位気持ちは痛い
一年遅れるのは自己責任だし
勉強を頑張った美奈子に何ひとつ非なんてない
だけど
毎日会えなくなるのが切ない
違う環境にあるのが切ない
俺の景色にお前がいないのも耐えられないし
その逆だって俺にとっては同じこと
そして、切なさにかこつけた我が儘は美奈子を困らせる
『ほんとーにしなきゃダメ?』
『うん。美奈子からして』
お見合いのように向かい合う姿は端から見たら面白いんだろうけど
残念だけど俺たちは至って大マジメ
意を決したように俺の頬に触れる指は微かに震えていて
たかがキスなんてなんていえないのは美奈子のやっぱり無理の声が怖いからかもしれない
でも、好きな子に唇を奪われるなんてスイートな夢を実現させたい俺は早くとそんな美奈子を急かす
『もう何回かしたでしょ?』
『それは、そうなんだけど、でも…』
恥ずかしいと口をもごもごと動かしながら照れる美奈子は可愛くて、やっぱり自分から奪っちゃおうかと思うけどここは我慢
多分してもらう事に意義がある
はず。
『ね、キスして』
と催促するように口を窄めて美奈子にキスをねだると返ってきたのは何故か爆笑
雑食な俺に言える事じゃないけど美奈子の空気の読めなさはいっそ清々しい
後ろを向いてまで笑う姿はムードもへったくれもない
しかもそんなにウケたのか笑いやむ気配が全く感じられない
あぁもう
俺は真剣なのに
もう良いや
美奈子には任しておけない
自分から奪っちゃおうと
意を決し美奈子の肩に手を置き顔を寄せると
あれ?
これは思ってもない展開かもという驚き
それもそのはず、さっきまで爆笑してたはずの美奈子が悪戯っぽい顔をして顔を近付けてくる
その小悪魔のような瞳に見とれてる間にその唇がチュッと自分の唇に重なった
不意をつかれた事はみっともないけど重なった唇はひどく甘く感じて
あぁ幸せってこんな単純な事の積み重ねなんだって気付かせてくれた気さえする
短いキスを終え何であんなに笑ってたのと問うと美奈子の答えは意外や意外
『いやホワイトデーの度に毎年あんな顔してたなと思ったらおかしくて』
そういえばそんな事もあったなと思い返しカレンダーに目を向けるとホワイトデーまであと少し
今年は彼氏彼女なんだからちょっと背伸びして
『じゃあ、今年のお返しは俺ね』
と言ったらお決まりの『…もう!』っていう返答をしながら美奈子はそっぽを向くけどその耳は赤く色付いていて
それを見てるだけで口をついて出そうな
『可愛いから早く食べちゃいたい』
を必死に飲み込み
別の言葉を頭で探す
幸せにしたい
ずっと側にいて欲しい
お前が好き
大好き
好き
好き
溢れ出すのは愛とかそういうあったかい気持ちだけ
『あー、俺 自分が思ったよりお前に骨抜きにされてるかも』
思考の甘さにそんな言葉を漏らす俺にあっさりと彼女は言った
『うん。知ってるよ?』
もう、だからお前は。
そんな事言えないように塞いだ唇はやっぱりすごく甘かった
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【叶リア】の親愛なる匙原アカネさまより相互記念小説を頂いてしまいました…!
人様の小説を飾るなんて初めてなので手が震えております…。ブルブル
甘々のルカバンということでしたが期待以上の甘さできゅんきゅんしてしまいましたo(><)oキスのやり取りをするふたりが可愛すぎて大好きですv
素敵な小説をありがとうございました!アカネちゃん愛してます…!告白
これからも宜しくお願いします(^O^)/
(2010/11/28)