「これとこれと…これ!絶対オマエに似合うから着てみて。」
今日は琉夏くんとショッピングモールでデート。とくに欲しいものもなく色んなお店をブラブラと歩き回って、とある一件のお店に立ち寄った。そこは最近オープンしたばかりのお店で、セールを行っているせいか店内は人で埋めつくされていた。興味本位で入っただけなのに、琉夏くんはわたしに似合いそうな服を一緒に選んでくれたのは数分前の出来事。お店も混んでるし試着室に入るまでに時間がかかるから、と断っても琉夏くんは一歩も引かなくて。どうしても着て欲しい、なんてお願いされたら断る理由なんて見つからない。わたしの為に好きな人がせっかく選んでくれた訳だし。…仕方ないよね?琉夏くんの言葉に従ってしまうわたしは彼に弱いのかな。
「ねぇ、まだぁ?」
「ごめんねっ!あと少しだから!」
試着室に入ってまだ数分しか経っていないのに、待ちきれないなんて琉夏くんらしくてなんだか笑ってしまう。きっと試着室の外で唇を尖らせているに違いない。想像しただけなのにまた口元が緩くなる。するとコンコンとドアをノックされた。
「お客様いかがですか〜?」
「あっまだ着替え中で…て、る、琉夏くん!?」
店員さんと思いきやノックをしたのは琉夏くんで、ドアから顔を覗かせていた。驚いたわたしにニッコリと笑いかけ、素早く試着室の中へ入りドアを閉めた。
「待ちくたびれて来ちゃった。」
「きっ…来ちゃったって言われても…。」
突然の来訪者に今何が起きているのかわたしは混乱していて、ゆっくりと今の状況を整理した。
ここは試着室でわたしは今着替え中で服を着……!着てない…!わたし今スカートは穿いているけれどインナーを着てない!上は下着姿だ…!
だけど気付いた時には遅かった。琉夏くんはニコニコ…ニヤニヤと笑いわたしの身体を上から下へゆっくりと眺めていて、その視線が恥ずかしくてすぐに両手で下着を隠した。無駄な抵抗かもしれないけれど…。
「なんで隠すの?俺もっとみたい。」
「みみ見たいって…!はっ恥ずかしいよ…。」
せっかく両手で隠したその手を琉夏くんの手であっさりと解かれてしまい、両手を試着室内の鏡に縫い付けられた。背中越しにヒンヤリと鏡の冷たい温度が伝わり、身体が少し震えた。
「うん。思った通りだ。」
「……?」
「オマエは何着てもかわいいね。」
「服…上着てないもん。」
「着てなくてもオマエはかわいいよ。服はそのオマケ。」
琉夏くんはいつもさらりと恥ずかしい言葉を言う。表情ひとつ変えないから思わずこっちが恥ずかしくなる。そんなこと言われたらもう怒れないじゃない。腕を掴んでいた両手を離して、優しくわたしの頭を撫でる。いつもそう。琉夏くんはかわいいっていいながら頭を撫でてくれる。こんな状況だけど琉夏くんにかわいいって言われるのは好き。その言葉が行動が気持ち良くてポカポカと幸福な気持ちになるの。
「ありがとう琉夏くん。」
この気持ちを伝えたくて、触れたくて、ちゅっと音をたてて琉夏くんの頬にキスをした。唇からわたしの気持ちが伝わればいいのに。
「……それ、ヤバい。」
「…え?何かいっ…んんんっ!?」
ぼそりと呟いた言葉を聞き返そうとしたけれど、琉夏くんの噛み付くようなキスで唇を塞がれてしまった。
何度か唇の角度を変えてキスをしているとにゅるりと舌先で唇をノックされる。ためらいながら入口を開くとくちゅっと音をたてながらわたしの口内に侵入してきた。琉夏くんの舌は、うねうねと動き回りまるで別の生き物みたい。舌を絡めるキスは何回もしているのに、全然慣れないわたしはいつもその動きに舌先で必死に答えることしか出来ない。
その隙に琉夏くんが片手で器用にブラのホックを外してパサリと床に落ちる。その音で一気に現実へ引き戻され、琉夏くんの身体を両手で退けようとしたけれどびくともしない。前を隠す布さえなくなってしまって琉夏くんからはきっと丸見え。恥ずかしくて顔から火が出て来そうだ。
ようやく唇を離してくれた琉夏くんは、満足げにわたしの髪を撫でて愛おしそうに頬や首筋に数回キスをした。そのまま、あらわになった胸元まで顔が近付いてふぅっと息を吹き掛けられて身体がビクッと反応してしまう。
「ねぇ…ここ触っていい?」
「だっだめ…!んんっ!」
ふたつの突起に指先で軽く摘まれただけなのに、全身がビリビリと電気が流れるみたいに震えあがる。
その反応が面白いのか強弱をつけて何度か摘まれ、その度に身体はビクビクと反応してしまう。
「ダメなの…?煽ったのはオマエなのに?」
「あっ煽ってなんか…やあっ。」
指先を一旦離すと今度は琉夏くんの大きな手の平でわたしの胸に触れ優しく揉み出した。目の前で形を変えていく胸が、なんだか自分のものに見えなくて恥ずかしい。
琉夏くんの右手を胸から離そうと力を入れるとパクりと突起にかぶりつき反対側の胸を揉みほぐされた。ペロペロと舐めながら甘噛みをしたり吸い上げたりするその行為を見てられなくて瞳をぎゅうっと閉じると触れてくる舌先ばかりに集中してしまう。
だめ…。
これ以上触れられたらわたしおかしくなっちゃう。
「琉夏く、ん…これ以上は…。」
「うん。…わかった。」
わたしの言葉で手の動きはピタリと止めてくれたけれど、琉夏くんのその指は上から下へとわたしの身体のラインをなぞるように伸びていく。その感触がくすぐったくて指先を身体で感じ取る。胸、くびれ、お尻、太もも。そしてスカートの上へと置かれた。
「じゃあ…ここ、触るね。」
「んんっ…!違っ…そういう意味じゃ…!」
ぐりぐりとスカートの上から強く触られたその衝撃に思わず身体が大きく揺れる。その隙にスカートの中に指先が侵入して下着をずり落ろされ、とうとうわたしが身につけている着衣はスカートだけになってしまった。
「そのわりにはここ、すっごく濡れてるけど?」
「だ、だって琉夏くんがっ…。」
「俺のせい?…触られて感じてるのはオマエだろ?」
「やっ…やめ…ひぁああ!」
琉夏くんの長い指先が十分に潤ったそこに侵入してわたしの中を掻き回す。ぴちゃぴちゃと卑猥な水音を響かせながら奥へ奥へと、まるで吸い込まれるように往復する。その刺激に耐えられず膝がガクガクと震えて立ってられない。目の前の琉夏くんの首筋に腕を絡めようとした瞬間、くるりと鏡側へと身体を反転させられた。
「なっ…に?」
「ほら、全部丸見えだよ。」
「………!」
「あっ。また溢れてきた。」
段々激しくなる指先。試着室内に響く水音。中途半端に脱がされた下着が足元に絡まって気持ち悪い。だけど、そのいやらしい自分の姿が鏡に映し出されて気持ち良い、と思ってしまうなんて…。
「あっあっ、だめぇぇ!」
ビクンと身体が跳ね、わたしは呆気なく達してしまった。
そこからゆっくり引き抜いたその指を琉夏くんは軽く舐めとり、その仕草に背筋がゾクりとした。スカートの下からは太ももを伝いダラダラと甘い蜜が流れ出て、穿いていたスカートもその下にあったインナーも下着も濡れてしまいグショグショだ。
「あーあ。服こんなに汚しちゃったね…。」
琉夏くんが入って来なかったらこんなことになんてならなかったのに、そう言いたかったのに苦しくてハァハァと肩で息をすることしか出来ない。
「大丈夫。…俺が買ってあげるから。だから、さ。続きしよう?」
ちゅっと唇に軽くキスをしてから琉夏くんはベルトの金具をかちゃかちゃと外し始めた。
その行動に思わずぎょっとして瞳を丸くする。琉夏くんの下半身に視線が集中した。
まっまさか、ここで…?
最後までしちゃうの?
「る、るかくん…。」
「ん?もうちょっと待っててね」
「…っ…だっ、めだよ。誰か来ちゃ……」
「お客様、いかがですか?」
コンコンと叩く音と共に声が扉の先から聞こえ、思わず身体が強張った。
今度こそ本物の店員さんだ。どうしよう…!この状況を見られたら言い訳も思い付かない。とにかく落ち着いて返事をしなくちゃ。
「はっはい…!ひゃぁ…!」
「お客様!?大丈夫ですか?」
わたしの下半身ににゅるりと熱い何かがあてがわれた。もしかして、もしかすると、これって…。
「る…かくん、なに…して!」
「うん…こうした方が興奮しない?」
「…っ…だからって…んんん!」
やっぱり、熱い何かは琉夏くんのそれで。受け入れるには十分過ぎるくらい潤っているそこは、待ち望んでいたかのように侵入を簡単に許した。ゆっくり、ズブズブと音をたながら中へと入ってきて、焦らすようにポイントをずらし内壁を擦り上げる。
「ほら、ちゃんと答えないと。…店員さんにバレてもいいの?」
「バレちゃ…嫌っ…。」
フルフルと首を横に振ると嬉しそうに微笑んだ。琉夏くんは完全にこの状況を楽しんでる…。彼の瞳は鏡越しでもわかってしまうくらい欲情している。だけど…こうして彼を受け入れてしまっているわたしも楽しんでいるのかもしれない。
気持ち良くて頭の中が真っ白でもう何も考えられない。ただただ下半身にある彼の熱を感じることしかわたしには出来なかった。
このままバレてしまえば楽になるのかな…?
「だっ…大丈夫です…。ちょっと立ち、くらみがして…。」
「わかりました。体調が優れなかったらすぐに言って下さいね。失礼します。」
店員さんがコツコツと歩きだしその場から離れると、後ろからいきなり奥深くまで突き上げられた。
「ひゃう…!」
「よく出来ました。ご褒美、あげるね。」
そういった琉夏くんは、先程まで擦り上げていたポイントをずらして、いつ知ったのかわからないわたしの弱い部分を攻め始めた。
強い刺激から逃げようとしたのに腰をガッチリと捕まれてしまい、琉夏くんのされるがままになってしまった。
「だ…だめ!そこ、…そんな激しくしたら…!」
「ごめん…俺も限界…っ。」
「琉夏く、ん。あっだめ…!ああああ!」
たった数回突かれただけなのに、全身に快感が一気に押し寄せてわたしは二度目の絶頂を迎え、琉夏くんもそのあと欲望を吐き出した。
「もう!あのお店行けなくなっちゃったじゃない!」
「ごめん。ちょっとはしゃぎ過ぎちゃったね。」
結局、わたしの声で異変に気づいた店員さんが駆け付けて、すぐに服を着て逃げるようにお店を後にした。もちろん服はきちんとお金を払ってお持ち帰り。先程の行為でグショグショになってしまった服を覗き込むとため息が止まらない。だってこれ、もう着れないよね…。
「…本当に反省してるの?」
「してるしてる。…だかさ、次は違うお店でする?」
「……しませんっ!」
顔を近づけて囁く琉夏くんはちっとも反省なんかしてなくて。頬をプクッと膨らましてそっぽを向くと、「うそうそ」といたずらっぽく笑いながらわたしの手を優しく握ってくれた。
「やっぱり、オマエはかわいいね。」
その笑顔と繋いだ手で今日のことを許してしまうわたしは、やっぱり琉夏くんに弱いみたいだ。
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企画サイト、アオゾラカンソク(R18)に提出した人生初めてのR18小説です。
読み返すととても恥ずかしいです…(><)
(2011.4.19)