「なぁ、あの子かわいくね?」

入学式を終えた後、声を掛けてきたクラスメイトが指差す方向にひとりの女がいた。背は小さめで、髪が肩に付くくらいの髪型。かわいいと言われてもその基準が全くわからなくてその女をぼんやりと眺めた。

ただただ、漠然とよく笑う女だと思った。

「そうか…?俺そういうの全然わかんねぇ。興味ない」

「…不二山って変な奴だな」

変な奴…?

わからないことが?それとも興味がないこと?

そんなことを言われても全く興味がないのだから仕方がない。俺は柔道がしたくてはば学に入学した。それ以外興味がない。

高校生になると回りの奴らは女や恋愛の話ばかりで退屈でつまんねぇな。

「勿体ないな〜。恋をしたら世界が変わるのに」

「…ふーん。恋ねぇ」

得意げに話すクラスメイトをよそに、ちらりと先ほどの女を見た。やっぱり、かわいいとか全然わかんねぇ。

今の俺の世界は8割柔道で残りは食べることと寝ること。『世界が変わる』恋愛なんて、俺には遠い未来の話だとその時は思った。


だけどその日から何故かその女が俺の視界に入る様になった。
校庭を走っている朝練、早弁を食っている授業中、放課後の帰り道。
いつも気がつけばあの女が俺の視界にいた。

それが気になって、勉強や柔道をしていても上の空。名前も声も知らない女にこんなに興味を持つなんて。

それが気になって何度もその女に直接確かめようとしたけれど、話すタイミングを見つけられなくて教室ですれ違うだけの相変わらずな関係。これじゃあクラスメイト以下のただの他人だ。

だけど、知りたいと思えば思う程その気持ちは膨らむ一方で。喋ってみてぇなって、どんな声してんのかなって、ずっとずっと気になって。
いつの間にか、視界に入る意味ではなくその女が気になっていた。

そんなことを悶々と考えながら今日も校庭で柔道部の勧誘をしていた俺の前を、あの女が通り掛かった。

チャンスは今しかない。
そう思って声を掛けて引き止めた。

初めて面と向かって話す女はやっぱり、よく笑う女だった。その笑顔に吸い込まれるようにじーっと見つめているとずっと気になっていた疑問の答えに気がついてしまった。


この女が俺の視界に入るんじゃなくて、俺がこの女をずっと見てたのか。

そうか、答えは簡単だ。


「おまえ…マネージャーに向いてるな」

なんていうか、おまえのその笑顔を隣で見れたら俺の世界が変わりそうな気がしたんだ。










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初の嵐さんSSです。

私は好きになるきっかけみたいな淡い恋愛が本当に好きみたいですw

っていうか嵐さんのクラスメイトのウザさがマジパネェ(笑)気分を害されたら申し訳ないです(><)

(2011.3.3)

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