高校生になった15歳の春。幼なじみの女の子がこの街に帰ってきた。
再会したオマエはガキの頃からちっとも変わってなくて、顔を見ただけですぐにオマエだってわかった。

そういえば、教会でかくれんぼをしてコウに見つからないように一緒に息を潜めて隠れてたっけ。
その瞬間だけは、二人だけの世界みたいでガキの癖にドキドキして無邪気に笑うその笑顔が大好きで…。


恋、をしてた。

多分、あれが俺にとっての初めての恋。いわゆる初恋というものだ。恋という気持ちを知る前にオマエは引っ越しちゃって、俺の短い初恋は終わりを迎えたけれど――。





その衝撃的な出会いから一年後の春。

俺とコウとオマエの三人はいつも一緒に行動している。三人で学校帰りに喫茶店で寄り道をしたり、休日は遊園地やゲームセンターで遊んだり…。さすがにかくれんぼはもうしないけど、まるで昔に戻ったみたいだ。それが嬉しくて馬鹿みたいに毎日笑って過ごしてた。

今日も三人で一緒に帰る約束をしていて下駄箱の前で待ち合わせをしていると、俺に気づいたオマエは手を振りながらこちらに近づいてきた。


「お待たせ」

「あれ…?琥一くんは?」

「コウはクラスの奴に校舎裏に呼び出されて恋愛相談。…男だけど」

「そうなの?ふふっ。琥一くん、信頼されてるんだね」

「すぐに終わらせるってさ。だからもう少しここで待ってよ?」

いいよ、とオマエはふんわりと笑った。

この笑顔を見れなくなってから何年経ったんだろう。オマエがいなくなってからは何もかも空っぽで、悲しくて辛くて。
それを埋めようといろんな女の子と付き合っても本気になれなくて気持ちは満たされずにいた。

なんでかな。
いつもオマエのことばかり思い出すんだ。
オマエはもうこの街にいないのに。ほかの女の子と比べてしまう。

だから、オマエ以外恋をしようなんて思わなかった。


だけど、また俺はオマエに出会ってしまったんだ。

もう会うことのない初恋の女の子。再会したオマエはあの頃と比べものにならないくらいかわいく成長していた。
最初は戸惑ったけれど、今度は友達としてオマエと付き合っていくんだ。
そしたら、もうあんな思いはしないよね…?





「見てっ!紙飛行機!」

突然、オマエが声を出し、指差す方向を見上げると雲一つない空に紙飛行機がふわふわと気持ちよさそうに飛んでいた。どうやら誰かがベランダから投げたみたいだ。

「すっげー…。風が強いから高く飛んでる。どこまで行くのかな?」

しばらく紙飛行機の行方を追っていると、風が弱まったせいか段々下降してきていた。その先は教会かな、なんて考えごとをしていたら、ぐいっと腕を強く引っ張られた。

「…教会に落ちるかも!行ってみよう!」

「…え?」

「早く早く、落ちる前に追いかけよう!」

ガキの頃に戻ったみたいに無邪気に笑って、俺の手を優しく繋いだまま二人で教会まで走った。


だめだよ。

俺はその笑顔に弱いから。

もう誰も好きにならないって、恋をしないって決めたのに。またオマエに惹かれてしまう。


でもね、

本当はわかってたんだ。

失うのが怖いから、気づかないふりをしてずっと友達でいようって逃げてた。

そんなの無理に決まっているのに。


「……おちたかも」

「…?。もう落ちちゃったかな」




空を舞う紙飛行機は、春風に乗って上へ上へと上昇し、そのまま真下へ急降下。

それは、恋に落ちる瞬間みたいにキラキラと輝いて見えた。









----------------

【叶リア】の親愛なる匙原アカネさまへの相互文として書かせて頂きました…!

人様に捧げる文章なんて初めて書いたのでいつも以上に時間がかかってしまいました…(:Å;)そのわりにはクオリティ変わりません。すっすみません…!←土下座

初恋をテーマに書きましたがちゃんとテーマにそっているか微妙です…(><)でも私が一番書きたかった表現を気に入って下さってアカネちゃんには一生頭があがりませんv

アカネちゃんにとって私がまゆゆならば、私にとってアカネちゃんはあっちゃんです(^^)つまりNo.1笑

改めて相互ありがとうございました!これからも宜しくお願いします(^O^)/

(2011.2.18)

「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -