今日のデートはすごく楽しかった。

待ち合わせにいつも遅刻する琉夏くんが時間通りにいたり、新しく出来たプラネタリウムへも嫌な顔せずに付き合ってくれたり、帰り際もいっぱい話をして手を繋いで自宅まで送り届けてくれた。
琉夏くんはずっと嬉しそうに笑ってたからわたしもつられて笑ってた。

こんなに笑って過ごせたのは久しぶりですごく楽しかった。

楽しかったんだけど…。

まだ別れてから一時間しか経っていないのにもう会いたくなっちゃうなんて。

さっきまで一緒にいたから余計に寂しくて、いますぐ会いたい気持ちを琉夏くんに伝えたいけれど、そんなことを言ったらめんどくさい女の子だって思われちゃうかもしれない。今までは学校で会えるだけで幸せだったのに、どんどん欲張りになってしまう。

せっかく琉夏くんと仲良くなったのにこんなことで琉夏くんに嫌われたくないよ…。

ため息をつき、今まで琉夏くんとやり取りしていたメールをベットの上で読み返す。もう琉夏くんは家に着いたのかな。返信ボタンを押して今のどうしようもない気持ちを文字にした。

『会いたい』

たった四文字の短いメールの文章だけど、今のわたしにはこんなことでしか寂しさを埋めることが出来なかった。
琉夏くんもわたしと同じ気持ちだったらいいのにって都合のいい考えしか出てこない。
なんでこんなに欲張りになっちゃったんだろう。こんなことをしても意味がないのに…。

メールを削除しようと電源ボタンを押そうとしたのに、ついいつもの癖で送信ボタンを間違えて押してしまった。
すぐに間違えたことに気づき、電源ボタンを何度も押してディスプレイに送信中止の画面が表示された。心臓はバクバクと大きな音をたてて今にも身体から飛び出してきそうだ。

「だっ大丈夫だよね…」

恐る恐る携帯の送信ボックスを確認すると琉夏くん宛てのメールはそこにはなくて未送信ボックスにあった。
安心して携帯を閉じると今度はお気に入りの着信音が鳴り響く。ディスプレイを覗き込むと先程まで恋い焦がれた人の名前が表示され、慌てて通話ボタンを押すと優しくわたしの名前を呼んでくれた。

「るっ琉夏くん、どうしたの?」
「俺。…今大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ…」

本当は全然大丈夫なんかじゃない。琉夏くんのその優しくて甘い声を聞いたら心臓がドキドキ煩くて、せっかく我慢していたのにすぐに会いたくなっちゃうよ…。

「ねぇ外見て?」
「外…?」

座っていたベッドから立ち上がりカーテンを引く。窓の外を見るとそには琉夏くんがいてこちらを見上げて立っていた。すぐに携帯を切り毛布を持って玄関へ急ぐ。

「琉夏くん…!」

ドアを開け名前を呼ぶと彼はにっこりと微笑んでくれた。そんな琉夏くんの笑顔に胸がきゅんとなる。
彼に駆け寄りすぐに毛布を肩にかけてあげると触れた頬が冷たくて長い時間ここにいたことがわかった。

「もしかして…メール届いてたの?」
「メール?なにそれ」
「ううん。…なんでもない」

わたしが間違えてしまったメールは届いてなかった。じゃあ、どうして琉夏くんはここまで来たんだろう。

琉夏くんの顔を見上げるとにこりと笑い、毛布をかけたわたしの手を握りしめた。ゴツゴツとした白くて長い手は氷のように冷たかったけれど琉夏くんに触れられたそこは熱が集中して少しずつ温かくなっていく。

「オマエに会いたかった」「え…?」
「帰る途中でまた引き返してきたんだ。さっきまで会ってたのに馬鹿みたいだろ?」

それって琉夏くんもわたしと同じだったってこと…?どうしようすごく嬉しい。こんなに欲張りな気持ちになるのはわたしだけだと思ってたのに。

嬉しくて嬉しくて彼を優しく抱きしめた。身体を冷たくしてまでわたしに会いに来てくれた琉夏くんが愛おしくて、早く温まるように強く抱きしめる。わたしの体温を分け合えたらいいのに。

「わたしも同じこと考えてたよ…」

気持ちを確かめなくても同じことを考えているなんて、なんだかとってもロマンティックな気分だね。







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ルカバン強化中(^O^)/

メールを間違えて送りかけた件はよく私がやらかす実話です(^^)←


(2011.11.13)

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