デートの帰り道に初めてオマエと手を繋いで帰った。

俺の手なんかと比べものにならないくらいオマエの手は本当に細くて小さくて、ガキの頃俺とそんなに変わらなかったオマエの手はいつの間にか女の手になっていてなんだか調子が狂う。

このまま強く握ってしまったら壊れてしまいそうで、慎重に手を握ると少し冷たくひんやりとするその小さな手は優しく握り返してくれた。


「コウちゃんの手、温かいね」
「そうか?オマエが冷てぇだけだろ」


いつも通りにしていても鼓動は早くなる一方で。歩く度に触れる肩が熱くなる。たったそれだけなのに嫌でもオマエに惚れていると気づかされてしまう。

本当はオマエと手を繋ぐのは少し抵抗があった。

相手の気持ちなんか考えず俺はこの手で何人もの人を殴って、傷付けて、ただただ強さだけを求めていた。ケンカに明け暮れていた中学の頃と比べると回数は減ったが今でもケンカを売られれば買っている。

そんな汚れた俺の手でオマエに触れる資格なんてあるはずがない。純粋で真っ白なオマエを汚してしまいそうで、触れることが怖かった。オマエに触れたいと思えば思うほどそれは強くなるばかりだ。

そう思っていたのに、だ。


「手が温かい人は優しいって本当だったんだね」
「オマエ何言って…」
「…なんか安心する…」


オマエに手を差し出された瞬間、俺は迷うことなくその手に触れてしまった。自分の意思の弱さが嫌になる。
だけどオマエの幸せそうな顔を見て、この繋いだ手とオマエを一生離したくないと思った。

オマエがこの手を優しいというなら。

今まで人を傷付けることしか知らなかったこの手を今度はオマエを守る為に使いたい。






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初コウちゃんSSです。

初めて手を繋ぐ戸惑うコウちゃんが書きたかったんです(^^)

(2010.11.5)

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