これは診察です 01.





はぁ…。頭と喉と関節が痛い。体の節々がミシミシしてる気がする。そして頭が限りなくぼー…っとする。



これは診察です



『サエグサ様、サエグサカナメ様、6番診察室にどうぞ。』


病院の待合室に流れるアナウンスから、俺の名前が聞こえてくる。あぁ、何で俺の名前知ってんだ?とか意味不明な事を考えつつ、待合室の独特な固いソファーから立ち上がる。あぁ、こりゃ結構やばいな、俺。


「三枝さん、本日はどうしましたか?」

「えと…あの、風邪、だと思うんですけど」

「そうですね…かなり顔が赤いですし…熱は計りましたか?」

「い、いえ…」


そう言ってふるふると首を振ったところで、俺はそのままプツリと意識を失った。マジで結構やばいところまできていたらしい。



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目が覚めた時、俺は自室ではない何処かの天井を見つめていた。真っ白なシーツを握り締め、だいぶうなされていたみたいだ。額が汗ばんでいる。病院独特の薬みたいな匂いに眉が歪む。


「おや、目が覚めたようですね」


ハッとして目線を病室のドアにやると、診察室にいた先生がドアの横の壁に手を掛け、眼鏡の縁をクイッと上げながらニヤリと笑っていた。え、ニヤリって何。


「はい、あの…俺…?」


身体を起こし、コツコツとゆっくり近付いて来る先生を見上げながら首を傾げてみる。男の俺が首を傾げるなんざ、気持ち悪いな。はは。


「三枝さん、診療の途中で倒れてしまわれたので、慌てて病室まで運ばせたのですよ」


ベッドの横に折りたたんであるパイプ椅子を組み立て腰掛けると、そのスラリと長い足を組みながらニコリと笑い掛ける。


「安心して下さい、明日には退院出来ますから」


そういえば、ここは何処だろうとか考えもしなかった。窓から見える景色は俺が足を運んだ病院とさして変わらない気がする。真っ暗だからよく分からんが。


「あなたが眠っている間に座薬を挿しておいたので、熱も引いたようですね」


口元をクイと上げながら、椅子から少し身体を浮かして俺の額を触る。ひやっとするその手の体温にピクリと肩が反応した。
つか、ざ、座薬…だと?


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