我慢できない 01.




このところの俺は、自分でもびっくりする位に飢えていると思う。愛に。
…ま、欲求不満ともいうんだけど。

せっかく冬休みに入ったというのに、俺の恋人である響(ヒビキ)は連日図書館通いで忙しいらしくちっとも会ってくれやしないし、電話しても家庭教師が来る〜…だの、勉強が〜…だの、愛の言葉を囁く暇もなくスッパリ切られてしまう毎日。ちょっと冷たいの度を越えてないか?これ。

冬休みに入れば、いくら毎日勉強三昧で学年首席超優等生の響とはいえ、ちょっとは俺とデートの一つや二つや三つ、してくれるもんだと期待してたのになぁ……。

告ってきたのはあいつからのくせに、全然そんな感じしねーもん。釣った魚に餌をやらないというのは正に今、この状況を指すのだろう。
なんか俺ばっか好きで会いたいみたいで、なんか腑に落ちねぇ。



我慢できない



「なぁ、お前は俺と会いたくねーの?図書館ばっか行っててさ」
『何だ、そんなことか』

冬休みに入って五日目、つまり響と会ってない日が五日続いたある日。
とうとう痺れを切らした俺は、いつもなら絶対にしない夜中に電話をかけるという所業に至ってしまったわけで。
響は夜に電話されるのを凄く嫌がるタイプで、いやきっと夜は勉強に勤しんでいるが為なんだろうけども、そんな事はもうどうでもいいよ。うん。

俺の必死の訴えにあっけらかんとそう答える、響の気持ちが分からない。

「そんなことかって何だよ!冬休みに入って何日経った?まだ一回も会ってないんだけど!」
『……ほう、珍しくこんな時間に電話してきたかと思えば。そんなに不安なのか?』

ふ、と電話越しに響が鼻で笑うのが分かった。何で響は余裕ぶちかましてんだろう。俺はこんなに不安で堪らないのに。
無意識の内にぎゅっと口を一文字に閉めたそんな時、


『……お前、欲求不満なのだろう?』

自信たっぷりの声でそう言われて、ドキリと胸が騒ぐのを感じた。

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