妖しいアルバイト 04.




「貴志さん、こちらが約束の謝礼です」


後処理を済ませたあと(これが大変だった)、別の部屋でコーヒーを飲んでいる俺に、高良さんがにっこり笑って茶封筒を差し出してきた。


「ん…」


俺はわざとらしく不機嫌そうに茶封筒を受け取った。
いや、わざとでもなんでもなく俺の心はざわめいていて、頭が混乱してショート寸前ではあったのだが。

だって、いや、男相手になんて事をしたんだ俺は…!正確には男相手になんて事をされたんだ俺は、だな。

女の子大好きだったはずなのに、こんな…目の前に居る美人の…男、相手に。
…欲情して、あまつさえ身体を赦すなんて。

そんな恋のフィルター(?)越しに見る高良さんに今、ちょっとときめいてる自分を認めたくはない。


「貴志さん」

「…何?」

「順番が…逆になってしまって…」

「?」

「貴志さんの事が、好きです」

「…!」

「よろしければ、お付き合いして戴けませんか?」

「…」




「駄目…でしょうか?」




俺は、高良さんのこの頼みに弱いらしい。





---fin---




→次ページからは番外編になります。

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