妖しいアルバイト 02.




「着替えた…けど…何…これ」


俺が見に纏(まと)っているのは、和服。着物というよりは浴衣なんだろうか、正式名称とか詳しい事は分からないけど、旅館とかで着るような前を紐で縛って簡単に着れるものだ。


「お待ちしてました!よくお似合いですよ。では、こちらへ」


そのまま隣の部屋へ通される。
そこは畳の部屋で、掛け軸やちゃぶ台があり昔ながらの和室、という感じの部屋だった。

部屋に入ってすぐ、高良さんはおもむろにカメラを取り出してこちらに向ける。価値がありそうな高級感溢れるやつだ。

そのレンズが今、俺に向いている。


「では、そこに座って戴けますか?」


戸惑いながらも、言われるがままにその指示に従う。
片方の足を曲げ、もう片方の足は伸ばしたまま、適当な感じで座った。

そのままパシャパシャとシャッターを何度かきられた後、


「もう少し、足を開いてみて下さい」

「こ…こうか?」


両足を曲げて、少し開く。M字開脚とまではいかないが、浴衣の中に履いているボクサーパンツがちらりと見える程には足を開いている。


「いいですね。では、撮りますよ」


パシャ、パシャ。
先程より長く、色んな角度から俺を写真に残していく。

そして高良さんは何故か徐々に近付いてきて、ふいに俺の浴衣の裾をめくった。


「もう…少し、この角度から撮りたいので、足をもう少々開いて戴いても構わないでしょうか?」


そう言って彼、高良さんはカメラを畳に一旦置くと、俺の浴衣の中に手を差し入れ俺の内股を撫で、そのままゆっくり両足を開くように左右に力を入れられた。


「ちょ、自分で開くから…」

「構いません。私がやりますので」


高良さんは爽やかな笑顔をこちらに向けた後、俺の開かれた股間にカメラのピントを合わせる。
時折ごくん、と唾を飲みながら、なにやら満足そうにそのまま何枚か写真を撮っていた。

…その実俺はというと、…何だか少し変な気分になってきた。股間部分を撮られている、見られている、という感覚に慣れていないのもあるだろう。

更にいえば、高良さんは事あるごとに俺の太股から下着のラインにかけて触ってくるのだ。
足のちょっとした角度を変えるだの、浴衣とのコントラストがどうのだの、ごちゃごちゃ言いながら触ってくる。

変な意味では無いのだろうが、やはり意識してしまう。野郎相手に何が意識だ。笑わせる。とはいいつつ…若干、大きくなってきた。


「…貴志さん」

「………はっ、はい…」

「では、御召し物をもう少しはだけさせて貰いますね?」

「えっ…あ、あぁ」


浴衣を前で縛っていた紐をスルリと解かれ、胸元から下着までがあらわになる。


「貴志さん、もう少し艶っぽい表情をお願いできますか?」

「え?つ、艶っぽい?」

「はい。もっと艶っぽく、厭らしい感じでお願いしたいのですが…」

「わ、分かんねーよそんなの」

「そうですか…それでは仕方ありません」


そう言うと彼は俺の顎をくいっと持ち、何をするのかと考える間も与えずいきなりキスをしてきた。


「…っ、ん」


ちゅ、ちゅ、と軽く口づけを交わされた後、直ぐさま舌を入れられ口内を侵される。

ピチャ、と唾液の混ざり合う卑猥な音が部屋に響き渡る。


「んん、…っはぁ、はぁ、…な、何してんだよっ…」

「良いですよ…その表情」


俺の質問を無視し、そう高良さんは告げると直ぐさまカメラを持って、まだ荒い息の俺を容赦無く撮っていく。

抵抗しようかとも、突き飛ばしてやろうかとも思ったが、滅多にない高額バイトという事や、いや何より、この異様な光景に俺はとてつもなく興奮してしまっていた。

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