互いの利益のために03




「ぅ、わっ……」

初めて体験する他人の口の中の感触と温かさは想像を絶する感覚だった。思わずこんなみっともない声が出てしまうくらいに。

小さく縮こまった俺のソレを躊躇なく口に含んだ和成は、そのまま俺を見上げて「らしていいよ?」と舌足らずに告げる。
さしずめまるでフェラのような体勢と台詞に、自然と下半身が反応してしまう。……っていかんいかん。こんなところでデカくしてたら和成にもろバレだ。そんなの恥ずかしすぎる。

つか和成は何も思わないのだろうか。普通いくら喉が渇いてたからって、いくらエレベーターに閉じ込められていつ出られるか分からない状況だからって、友達の尿飲むか?飲めるか?……まぁ飲ませようとしてる奴が何言ってんだって話だけど。

――どのみちそれを承諾した時点で、俺達は同じ穴の貉なのだ。


この変な雰囲気に呑まれてしまわないように、絶対勃つなよと下半身に言い聞かせながら、俺はゆっくりと口を開く。

「なんか…えっ…と…これ、すげー悪いことしてる気分になるんだけど」

おそるおそる言えば、キッと軽く睨まれて。そんな感想はいいから早くおしっこしろよ!と目で訴えられた。

……とはいうものの、こんな非現実的な状況の中では出るものも出ない。あんなにシたかったはずなのに、いざどーぞと言わると出ない。必死に出ろ!と膀胱に命令はしてるのだけども、身体のどっかでストッパーがかかってるんだろう。執着心とか理性とか…何か色々な意味で。

「む…無理だ出ない……わりぃ……んな"っ!?ちょ、待っ…それはマズイ…っ!!」

申し訳なさげに言えば突然、断りもなしに、和成は俺の下腹部を拳でぐぐーっと押してきた。
馬鹿和成め、そんなとこ押さえたら今まで必死に耐えてきた俺の何かが一気に崩壊すんだろ。

「ひーはら、はやく」
「んっ………ッ」

いいから早く、とまたぐっと腹に刺激を与えられた俺は情けなくも力むような声をあげて、先端から滲んだ液体が堰を切ったように漏れ出しあっという間に和成の口へと放出されてしまった。

ひとたび出てしまえば自分ではもうどうすることもできない。
止まることのない放尿は見る見るうちに和成の口の中へと流れ込み、とりたてて嫌な顔もせず本来飲むべきではない液体をごくごくと嚥下していく和成を、心苦しくもどこか背徳感のような気持ちと共に見つめ続けていた。

「んっ…ん"…んー…!」
「悪い、もうすぐ終わる…から…」

そのうちさすがの和成も苦しくなってきたのか眉をひそめ声なき声でもう限界だと訴え始めたので、和成の柔らかい髪に指を絡め慈しむような気持ちを込めてそっと梳いた。
滲ませた想いを汲んだのか和成はこちらを見上げ目だけで微笑む。俺も優しく微笑み返したところで、やっと俺の尿意は全て去ってくれたようだった。やばい、すっきりした。



「…んッ、ちょ、おい」

最後に俺の先端の穴に舌を当て拭きとってやるよとばかりにちゅ、と強めに舐め上げられてゆっくり唇が離される。
思わず口を出た自分の声をごまかすようにギロリと和成を見れば、悪戯っ子のような邪気のない笑いが返ってきた。

「へへ、なんかしてみたくなっただけ」

そんな風に嬉しそうに笑われて怒れるはずがない。というか実際舐められてちょっと反応しかけた俺がいたりする。というか普通舐めてみたくなんかならないだろ。

「お前……変な奴だな」
「うわ何ひっで!つか秀一だって充分ヘンだぜ?普通こんなことしねーもん」

返された言葉になんとなく押し黙りつつ下着とジーンズをぱぱっと穿く。今この状態で救助が来たりしたらとりあえず終わる。間違いなく俺達の何かが終わってしまうからな。

和成はへらへら笑いながらその場にぺたりと座り、袖の縁で軽く唇を拭ったあと俺にぴったりと視線を合わせた。

なんかこう……改まって見られると恥ずかしいというかなんというか、なんだが……

「や……まぁ…悪い」
「ははっ、そこ謝る?!まーまーよかったじゃないの、互いの利害が一致してたんだからさ」

気恥ずかしさに胸を焼かれてなんだか落ち着かない俺とは正反対に、和成は何故か上機嫌そうにぽんぽんと俺の肩を叩いた。

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