我慢できない 02.




「ちっ、ちげーよ馬鹿!」
『そうか? 俺は欲求不満だぞ、久しくお前と交われていないからな』
「誰の所為だよ誰の!」

気付けばベッドにねっころがりながら話していたはずなのに、いつの間にかガバリと起き上がって全力でそう突っ込んでいた。

『俺の所為だといいたいのか?』
「違うのかよバカ!」
『お前より頭は良いと自負しているが』
「そういう意味じゃねえ!」

声を張り上げながら、ふと枕元に置いてある響の予備のメガネをチラリと視界に入れてみる。

響はザ・優等生とでもいうかのように、黒髪でメガネ、シャツは第一ボタンまで閉めて当たり前というあからさまな見て呉れをしている。
ただその辺のガリ勉くんと違うのは、その顔立ちとスタイルだ。背が高くてスタイル抜群なのはもう言うまでもないとして、整った顔立ちに奥二重でちょっとつり気味な目がいかにもSっぽく、端麗な見た目にそぐわない低くて艶のある声が色っぽくて。

『おい、大輔』
「んだよ」
『そんなに怒るな、折角の可愛い顔が台なしだろう?』
「ぬけぬけと!」

そんな響から告白された時は、そりゃもうびっくりしたもんだ。絶対自分から告白なんかしそうにないタイプだし。
……それが今じゃこんなんだもんなぁ。

「……はぁ」
『ため息をつくと幸せが逃げるぞ』
「うっせ、だから誰の所為だって」
『仕方のない奴だ……、おい、大輔』
「なっ、何だよ」



『お前の声をもっと聞かせろ』

いつもより数段低く色気のある声色でそう言った響は、なにやら電話口の向こうでガサガサと音を立て始めた。

「意味分かんねーよっ」
『本当にしょうがない奴だな、お前は』
「は?」
『……俺は勉強を中断して、今ベッドに座っている』

どういうつもりなんだ?
響は勉強中だったんだから机に向かっているはずで、でもそれを中断してベッドに来たってことは…?いやいや分かんねえ。

思考に思考を重ねてみても答えは出ず、何て言えばいいのか迷いあぐねていると、

『意味、分かるな?』

そう自信たっぷりに言われ、まごつきながら「お、おう」などと口走る。ごめんなさい分かんないです、響くん。

っていうか、なになにコレこの沈黙。俺どうしたらいいのよコレ。この急に襲ってきた沈黙をどう破るのが正解なのか皆目検討もつかない俺は、ポンと頭に浮かんだ突拍子もないことでも言ってみることにした。

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