弟Festival 番外編



*こちらは長編小説の「弟Festival」の番外編です。是非本編からどうぞ*



俺、佐久間卓也23歳。そして俺の愛する実の弟、佐久間優12歳。
俺達兄弟は結構な歳の差がある。とはいえ愛に歳の歳なんか関係ないし、俺はそんなもの気にしてはいない。

今日は、ちょっと昔の話をしようと思う。



弟Festival 番外編



俺が小学校高学年の時に優は生まれた。いつの間にか母さんのお腹が大きくなって、母さんはいつも家に居るようになって。父さんは以前よりも母さんを労るように優しくなり、これが家族が増えるということなのだと知った。

幼いながらも、母さんのその大きく丸みを帯びたお腹の中には家族全員が待ち侘びている「新しい家族」が居るということを、俺はきちんと理解していた。

程なくして生まれた俺の最愛の弟を“兄弟愛”のそれを越えた目で見るようになったのは、いつの頃だっただろう。

優は誰が見ても母親似の美人さんで、近所の人などにもよく女の子と間違われる程にそれはそれは可愛らしく麗しい幼少期であった。俺も今まで何度優を天使と見間違えたかしれない。今でも優は俺にとっての天使だけど。





俺はその時、中学校に上がるか上がらないか位の歳だったと思う。
反抗期とかも特に訪れなかった俺は、早々に仕事に復帰した母さんの代わりに「優をみていて」と頼まれることに何の不満も持ってはいなかった。

優はやっとたどたどしいながら言葉も喋れるようになって、俺がおもちゃで構ってやると凄く喜んで。むしろ俺はそうやって喜んで懐いてくれる優と遊ぶのが本当に大好きだった。

そんな頃、優が徐(おもむろ)に俺の指を銜え出して、それが気に入ったのかずっと俺の指をペロペロ舐めてしゃぶっていた時期があったんだ。

「あーむ」
「優は本当に俺の指が好きだなあ?」

きゃっきゃとはしゃぐ優。嬉しそうに目を細めて俺の指をひたすらに舐める優。

――最初は何とも思っていなかったはずなのに。

丁度その頃に精通を迎えていた俺は、何故かその指をしゃぶられている感覚に無性に興奮を覚えていた。

「んーっ、んーっ!」
「優、よしよし」

空いている方の手で優の頭を優しく撫でてやりながらふと下を見ると、いつの間にか俺の下半身は膨れ上がっていて。
え、なんで勃っちゃってんの俺!と思うのもつかの間、指先に広がる優の生暖かい口内の感触に俺の劣情は蝕まれてしまっていた。

あぁやばい…弟に指舐められて勃起する兄とかマズイだろ…でも……
チラ、と優を見てみれば、俺からの視線に笑顔で首を傾げるあどけなくて幼い天使のような優と目が合う。


「優……」

俺が何を考えているかも知らないで。
目の前の無防備な弟は嬉しそうにぎゅっと俺に抱き着いてくる。

さらさらして細くて癖のない髪の毛、真ん丸で大きい天使のような目、にぃ、にぃと舌たらずに呼ぶ声、まだ子供体温でぽかぽか温かくて何処かふわりと甘い匂いのする身体。もう全てが愛おしくてたまらない。

あぁ、これは……。
俺、優のことがマジに好きなんだ、そう思った。
優の全てが大切で、誰にも渡したくなくて、俺だけのものにしたくて。……こんな気持ち、初めてだ。
きっかけがまぁアレだとしても、気付いてしまった以上もう止められない。気付いた途端に失恋もいいところだけどさ。

片思いくらい、してたっていいよな?
この気持ちは一生墓場まで持っていくのだと、まだ若いながらもその時の俺は覚悟を決めたのだ。



---fin---




いつか書こう書こうとひっそり思っていた昔のお話だったりします。ちょっと短いけれど書けてよかったです^^
匿名様、リクエストありがとうございました!



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