弟Festival 番外編





「優が高校生になった。身長は俺より少し低いくらいにまで伸び、華奢ではあるけどしっかりとした体つきになって。色白の肌は今だ滑らかで、その全身に触ることを許されているのは今でも俺ただ一人。

はぁはぁ…優もこんなに大きくなって、優の優も大きくなって…。ハァハァ…。
小学生の頃(というか付き合うようになってから)一ヶ月に一度、優に頼み込んで撮らせてもらっている優の全裸の写真も気付けば五十枚を越していて、これを眺めていると人間の神秘と自分の心裡がよーく分かる。

「…ふぅ」
「兄さんただいま。…って何見てんの」

優が学校から帰ってきた。声変わりが済んでもその美声は健在で、でもやっぱり少しだけ大人っぽく色っぽくなった。
兄さん、と呼び方を変えたのはいつだっただろう。(とか言って実はちゃんと覚えてるけどね)

「おかえり優。ほら、優の大切な成長記録だよ」
「……手洗ってくる…っ」

照れ屋さんなところは変わっていないけど、耳まで赤くしながら洗面所へ向かう優の後ろ姿はもうすっかり大人びていて。

「優……やっぱり可愛いな」

今でも『可愛い』は俺の口癖なのだ。



弟Festival リクエスト番外編



ソファーにもたれて今だ優の成長記録鑑賞タイムに浸っていると、部屋着に着替えた優がすとんと隣に腰掛けて俺の肩に頭を乗せた。

もう何年もずっと一緒に居るのに、俺達の辞書にはマンネリという言葉は一向に見当たらない。
肩に感じる優の感触にこんなにもドキドキしている俺の体は、いつまで経っても優に慣れてはくれないようだ。

つかドキドキっていうよりムラムラの呼称のが正しいような…。
夕飯前から盛るとかどうよ俺。兄として、大人…社会人として……って、そんなの今更過ぎるか。



「ゆ、優……んむっ!」

ぼんやりそんなことを考えていたら、突然優に後頭部をがしりと掴まれて噛み付くようなキスをされた。

「んっ……んっ!」

こんな不意打ちの激しいキスなんてして…俺を煽っているんだろうか。お兄ちゃん我慢出来なくなっちゃう。わりと本気で。


「…んっん…はぁ」
「はぁ…っ………にぃ」

あ、やばい。
優がにぃって呼ぶ時は――


「……にぃ、そんな写真ばっかり見てないでよ」

優はそう言って、少しだけ不満そうな表情を浮かべる。
あぁもう何これどうしよう可愛い可愛すぎてやばい。

「本物がここにいるのにさ…」

ぷうっと頬を膨らませて、猫撫で声で擦り寄ってくる優があまりに可愛くて、愛おしくて。

じんわり胸に暖かい光が射したような幸福感を味わいながら、優の頭をぽんぽんと撫でてやった。

「優……わっ…!?」

すると心地好さそうに目を細めた優は、次の瞬間がばりと俺を押し倒してきた。え、え、え!?俺が今優を押し倒そうか否か考えていたところだったのに、優は何の躊躇も迷いも無く俺をソファーに押し付ける。優に逆らえるはずのない兄は、優に全てを任せることに決めた。

ローソファーに仰向けになって弟を見つめる俺と、その顔の両脇に手を付けてじっと兄を見下ろしてくる優。その眼差しはやけに煽情的だった。あぁその顔。色っぽいよ優。

「……にぃ」

言うなり俺の顔に影が落ちて、啄(ついば)むようなキスが降ってくる。それはどんどん激しさを増して、歯列を割り優の舌が俺の口内をまさぐり始めた。

「んっ…んっ」

官能的な舌の動きと優から漏れるささやかな吐息。ぐりぐりと押し当てられる優の隆起したそれは見事に俺のそこと擦れて、もうエロ過ぎてたまらない。

「…んんっ……ゆ、優」

優の右手があまりに自然な形で俺のシャツのボタンに伸びた。ぷちぷちと手際よくボタンを外されて、俺の厚くも薄くもないのっぺりとした胸板が露(あらわ)になる。

「にぃ…乳首勃ってる」

嬉しそうにそう零した優は、その突起に躊躇なくしゃぶりつく。

「あっ……ん」

どうしても漏れてしまう自分の情けない声と、ちゅぱちゅぱと見せ付けるようにいやらしくそこを舐める音が混ざり合って、どうしようもなく興奮した。

「…っ…あっ…ぁ」

優の左手が空いている方の突起もくりくりと弄りだして、目一杯与えられる快感に頭がどうにかなってしまいそうになる。

「にぃ…可愛い」と耳元で甘く囁かれて、そのままちゅぷっと耳穴を舐められる。ねっとり耳の周りから耳朶まで舐め上げられて、俺の股間はもうさっきから爆発寸前だ。

「…あっ…優…っ」

それを察したのか優の手はするすると俺の股間に伸びてくる。衣服の上から優しくそこを揉みしだいて、器用にもう片方の手と足を使ってズボンを下ろされた。
あぁ、いつの間にか優はこんなに立派なテクニシャンになって。お兄ちゃん…余すところなく優の虜だよ。

「……にぃ」

僕もう我慢出来ないよみたいな目で見られて、少しだけ掠れた色っぽい声で「大好きだよ」と告げられて。

ドキドキしながら微笑んで一つ頭を縦に振る。

「愛してるぞ……優」



ソファーがミシ、と音を立てた。」



* * *



「…ぃ…」
「ぃ…に…っ」
「にぃ…!にぃってばっ…!」

なにやらゆさゆさ体が揺れだして、頭に響く優の可愛い声ではっと目が覚めた。
朧(おぼろ)げな意識の中でただひとつ分かっているのは、俺夢精しちゃったな、ということだけだ。

「ん……優…おいで」

ぽーっとした頭で無意識に優を引き寄せて、大人しく俺の腕の中にすっぽりおさまっている愛らしい恋人をそっと抱きしめた。

「にぃ…どうしたの?」

あどけない喋り方も、背中に添えられた小さい手も、全てが愛おしい。

「んー…ぎゅってしたくなっただけ」

そう言って最後にきつく抱きしめてからゆっくり体を離す。優は少しはにかんでから、ちゅ、とほっぺたに軽いキスをくれた。

「えへ……。にぃ、だいすき」

まだ小学生の優は、とびっきりの笑顔を見せて俺に抱き着いてくる。ん〜!可愛い!可愛いよ優今すぐペロペロちゅっちゅしたい!

「あ、」

果てしなくニヤけながら優の頭をよしよしと撫でていたら、ふと大切な事を思い出した。

「なぁに?」
「優…」

少しだけ体を離して、小首を傾げながらじっと俺を見上げる優と視線を絡ませた。

「……今月の分の写真、今日撮らして欲しいな〜…」

様子を伺うような眼差しで上擦った声でそう聞けば、

「……しょうがないなぁ…っ」

優はみるみる顔を赤くして恥ずかしそうに抱き着いて、顔を押し付けながらぐりぐりと擦り寄ってくる。

「優…大好きだぞ」

優の背中をさすりつつ、その上着をめくった。
今月も恙無く、優の成長記録を納めることが出来てお兄ちゃんは幸せです。



---fin---




あれは予知夢だと信じています。そして少し大人になってにぃではなく兄さんと呼ぶようになってもムラムラした時や甘えたい時にはにぃと呼んでしまう優くんのひみつ。
あとやっぱりお兄ちゃんは変態でした。
South様、リクエストありがとうございました!



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