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「にーいっ」

自室で胡座をかきながらテレビを見ていたら、ふと、開きっ放しのドアから俺の愛しの恋人アンド実の弟の優がチラリと顔を覗かせて、そう目を輝かせながら俺を呼んだんだ。
うん、今日も一段と可愛いな、優。

「んー?なんだー優?」

彼の笑顔につられて顔の筋肉を緩ませながら、トコトコとこちらにやってくる優を足の間に招き入れ、いつもの癖で頭をよしよしと撫でながらお決まりの言葉を吐いた。優はニッコリ笑いながらその口を開く。

「あのさあのさ、今日ぼく図書室でこんな本を読んだんだけど、にぃ!」
「なんだ?」
「七夕ごっこ、しよっ!」

そう言いながら頭上に高々と掲げられた優のその両手にあった本にはななななんと、『官能:織姫と彦星』と書いてあった訳だ…!



弟Festival リクエスト 七夕編



ひぇー!よもや小学校の図書室に官能小説が置かれてしまうような時代になったとは!……全く、世も末だな。
いやいや、実の弟に手を出してる社会人が言っても説得力に欠けるけども。(いやでもまだ俺は優と最後までシた訳ではないからして…っていやいや十分アウトだろう)

優の手からその『官能:織姫と彦星』をひょいっと取り上げて、優の頭の上でぱらりとめくってみた。
ふむふむ思ったより小学生向けな小説のようだ。文字は大きいし行間も広く空けてあって読みやすく、所々に可愛い挿絵が盛り込まれてあって、成る程小学生向けな訳か……ってこれ!このイラストはアウトだろ…!

「にぃ…?」

完全に男女が性行為を繰り広げているアウトなイラストが描かれた全面見開きのページをそのままドサッと床に落とし、あっちゃあと片手でジェスチャーを決める。

うん、この場合の「あっちゃあ」は、「こんなん小学生に読ませてどうしようちょっとマズくないか?」ではなく、勿論「ちちちちょっとこんなん優が読んで触発されるがままに七夕ごっことかしちゃってコレ大丈夫かな!優と“七夕ごっこ”という名目に託(かこつ)けてあんなことやこんなことしちゃっていいのかな!大丈夫かな!特に俺の理性が…!」という意味である。

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