弟Festival



俺の本当に大切で大好きな、目に入れても痛くないほどに愛してやまない弟の優。

兄弟という肩書きだけじゃなくて、恋人というむふふな称号までも手に入れてしまった俺達は明日、家族水入らずでお花見に行く予定であります。

事の始まりは優がテレビでやっていたお花見特集を見て、目をきらんきらんに輝かせながら「僕、お花見したい!お花見お花見!」と言い出したことだった。
基本俺の家族は全員優に甘いので、「優が行きたいんなら行こうか」で満場一致。家族でお花見計画が遂行したというわけだ!

…本当は家族全員じゃなく、兄弟水入らずでお花見という名の青姦、とか、そりゃあもう考えただけで下半身の花が咲き乱れるような妄想は何度したか分からないが、(いやでも外で乱れる優の姿を晒してもし俺以外の人間に見られたらと思うとやっぱりそんなことは絶対したくないな、うん)ま、今回は家族全員の休みも見事に合いそうだし、俺よりも優は『家族で何かをする』ことをあまりしてこれなかったから、出来るだけそういう経験はさせてやりたいんだ、兄として。
俺も優も、恋人という前に家族だからな。優の幸せを一番に願うのは当たり前だ。



弟Festival 番外編



お花見といえばお弁当!お弁当作りといえば俺!(なのかは知らないが)っということで、本番当日の明日に備えて今日の内に下ごしらえをするという任務を母さんから任命されてしまった。

両親は例によって今日も夜中過ぎまで仕事に明け暮れているので、仕事の帰りにスーパーで卵やらウインナーやら鶏肉やらを購入し急いで帰宅した。

優はたこさんウインナーとか大好きだもんなー。俺は優のウインナーが1番好きだけど。
優の好きなオカズをいーっぱい詰めて、楽しいお花見にしたい。良い思い出になるような。


まぁなんだかんだ言って料理は基本的に好きかも知れないな、俺。「美味しい」と言ってくれる人がいると、やっぱり作り甲斐もあるし作ってよかったなと思うし。
更に優から「にぃ、おいひーい!」なんて最上級の笑顔で言われた日にゃあ、その日丸々頬の筋肉が緩みっぱなしになるからな。(というか、それが一番の理由だったりするんだけど)

と、そんな事を独りごちながら、水玉模様のエプロンの紐を後ろできゅっきゅと縛って腕まくりをしたところで、玄関のドアが開く音と「ただいまー!」という声変わりもまだまだな可愛い俺の恋人の声で、俺の脳内は一瞬で『お弁当の下ごしらえをする』から『優を玄関までお迎えする』にシフトチェンジされる。

「おかえり、優。…ちょ、ちょっと遅かったんじゃないか?暗くなる前には帰って来ないと危ないだろ?アレならお兄ちゃんに連絡してくれればいつだってどこにだってお兄ちゃん迎え行くから!な?」
「ただいまにぃ!もうっ、にぃは本当に僕のことが心配さんだなぁ〜」

俺がいつもの調子でそうまくし立てると、優は嬉しそうにふにゃりと笑ってトコトコ俺の目の前まで歩いてくる。

「優!俺は真面目に…っ、」
「分かってるよ、にぃ。ごめんなさい!…これで許してくれる?」

そう言って優はキッチン用の椅子によじ登ってチュ、と頬に触れるだけの軽いキスを落としてくる。もう…っ、一体どこでそんなテクニックを覚えて来るんだ優は!けしからんもっとお願いします!


最近よく思うんだけど、優は段々俺の扱い方を熟知してきた気がするんだよなぁ。俺が不意打ちの(優からの)キスとか不意打ちの(優の)笑顔とか不意打ち的に振り向いたら優が居たーとかに弱いの分かってて、わざとやってる気がする。そんな優が大好きだ。そんな小悪魔的可愛さもまた堪らないよ優!

「にぃ、もしかして明日のお弁当の準備してるのー?」

と、俺が妄想咲き乱れる思考を張り巡らせている間に、パタパタっと洗面所で手洗いうがいをした優は(偉いぞ優!)、またちょこちょこと俺の元にやってきて、エプロンの裾をちょんちょんと引っ張りながら俺を見上げてきた。
あぁ優!その角度たまらんです!その裾の引っ張り具合も最高!もうこれは先に優を食べちゃっていいかな?いいよね!(よくない)

「おふっ…そ、そうだぞ優〜!明日のお花見楽しみだもんな?お兄ちゃんが腕に縒(よ)りを掛けて美味しいお弁当作ってやるからな!」

ガッツポーズでドヤ顔を決めてやると、優はダイヤになってるぞって位に目をキラキラ輝かせて、俺を尊敬の眼差し的なアレで見上げていた。
どうだ、お兄ちゃん格好良いだろう!俺の背中を見て育っていくんだぞ、優!


――サクッ


サクッ…?
優に『料理出来るお兄ちゃんカッコイイ!』と思われたいが為に、俺は意気揚々とまな板に向かっていたはずだ。
なのにサクッ…?

「う、うあぁ〜…」

嫌な予感がして恐る恐る自分の手元に視線をやると、案の定包丁でサクッとウインナーではなく指をやっちゃっていた。
あぁ、指先に痛みが走っていたのはこういうことだったのね。

「っ、にぃ!どうしたの…っ!」

俺が思いの外冷静に自分の失敗について分析していると、慌てた様子で優が俺と台所スペースの間に割り込んでくる。
そして俺の指から血がツーと流れ出す様を見て、優は迷うことなく俺の手首を両手で掴んで、赤い液体が滴る人差し指をパクっと口に含んだ。

「なっ…!ゆ、優ダメだ」
「舐めう」
「血、出てるから…汚いから…な、優」
「…っ舐め舐めしてキレイにしたげう」

優ダメだそれは指フェラといって立派な性行為の一つなんだ…!
とはいっても優はそんなこと考えもしてないだろうし、ただ俺の指から血が出てるから消毒の意味で舐めてくれてるだけってのは分かるんだけど…分かってるんだけど……でもやばい!

俺が駄目だと言っても「舐めう」と言ってやめずにチューチュー患部を弱く吸ってくるのもやばいし、つか「舐めう」って!その舌足らずな喋り方でこっちを上目遣いで見上げてくるそのシチュエーションがもうやばい!俺やばいしか言えてない!

「ゆ、優…」

何だか体の力が抜けたように背中がゾクゾクする。弱々しい声で優の名前を呼ぶと、その言葉に反応してこちらをじっと見て首を傾げてくる優がやっぱり可愛い。

「…っ…」

多分一生懸命血が止まるようにって舐めてくれてるんだろうけど、チロチロと舌で指先を転がしてあむあむしてくれるこの感覚が堪らない。
じんわり生暖かくて優の柔らかい唇の感触が、俺の指先から性的な興奮を掻き立てる。

時折優の口から漏れ出てくるピチャピチャという水音も、優の息継ぎみたいに細く聞こえる吐息も、全てがやらしく聞こえて、もうそういう風にしか考えられなくなって。…俺の下半身はいつの間にか、立派なテントが張っていた。

「優…も、もう大丈夫だから…ありがとな?」

もうそろそろ本格的にまずい。このまま優を襲ってしまいそうな衝動を必死で押さえ込み、そう言って指をゆっくり引き抜こうとすると、優は俺の手を支えていた両手に力を入れ、離さないぞとばかりに思い切り指先を吸われた。

「んっ…ゆ、優…」

思わずヘンな声が出てしまった。優は俺の為にと、やらしい気持ち0で舐めてくれているのに、対して俺は疚(やま)しさ100パーセントで感じちゃってるとか…つか既に勃ってる時点で駄目過ぎる。甲斐性のないお兄ちゃんでごめんな、優。

ちょっと自己嫌悪に陥りながらも、やっぱり優はこの指をまだ離してくれそうにないので、そのまま優に委ねることにした。

「…んっ、」
「優…」

一生懸命に舐めてくれる優が本当に愛おしくて、よしよしと優しく頭を撫でてやる。嬉しそうに目を細めた優は、口から人差し指をゆっくり出したかと思うと、今度はその人差し指の付け根の辺りをねっとりと舐め始めた。

「うっ、ちょ、優…?!」
「なんかにぃ、気持ちいみたいだから」

バ、バレてた…!
指と指の間に舌を這わせながら、そう言って俺から視線を合わせたまま舐め続ける優がエロすぎる。
下半身爆発しちゃうんじゃないかって位に最高潮に興奮した俺は、思わず優の片手を取って自分の股間へと誘(いざな)った。

「…あ…」

俺のもっこり膨れ上がったソコに触れた優は、少し照れたようにはにかんだ後、ぎゅうっと俺に抱き着いてきた。腕を回して抱きしめ返してやると今度はぐりぐり顔を胸の辺りに押し付けてくる。恥ずかしいんだろうか。むふ、可愛い。

「…優のせいだぞ?」

そう言ってみれば、

「大丈夫、ちゃんと責任取るから!」

なんて、そんな男前なことをしれっと言ってしまう優に無条件で完全にノックアウトされた俺は、そのまま優をひょいっと抱き抱えて俺の部屋へと向かった。

お弁当の下ごしらえは、あとで。





---fin---




あ と が き

お花見ネタかと思いきや、あんまりお花見は関係ないっていう。指フェラとか管理人的に凄く萌えるんですがどうでしょうか…!


ここまでお読み下さってありがとうございました!よろしければ、ぽちっと押して頂けると嬉しいです。


[back] [next]
(1/1)
▽menu ▼top

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -