――そこからはもう、あんまり覚えてない。…というのは嘘で、恥ずかしくて思い出したくない。
目に涙を溜めながら、俺を愛しそうに見つめる高良さんと、いつの間にか服を剥ぎ取られた俺。
互いに盛り上っている股間のそこと、部屋に響き渡る息遣い。
腰と尻がこんなに痛いんだから、……そういう事なんだろう。
ベッドの中で俺の隣で幸せそうに眠っているこの人の顔を見てたら、何だかこっちまで幸せな気持ちになってくる。
出会いだって、始まりだって、ちょっと普通じゃなかった俺達だけど
まだ高良さんには聞きたい事が山程あるけど、まだまだお互い知らない事が多いのかも知れないけど。
それでも俺は今、高良さんの事をちゃんと好きなんだ。
「…んー…た、かし…さん…」
寝言で俺の名前を呼ぶ、この人の事が大好きなんだ。
思わず顔が緩んだ俺は、隣で眠っている高良さんの頬にキスをして、頭を撫でた。
「……ったく…」
眠りながらでも分かるのか、それとも何か良い夢でも見てるのか、頭を撫でられてニコっと笑った高良さんの顔を、俺は飽きる事もなく眺めていた。-E N D-
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