番外篇 02.
「…それはそうと、貴志さん」
「あ?」
「今日の夜は、お暇ですか?」
「ん、まぁ、暇だけど」
「では、本日私の家に来て下さいませんか?」
「え、あ、あぁ。別にいいけど」
「…!良かったです!貴志さんが知りたい事全て、お話しますね」
少し複雑そうに微笑む高良さん。何を聞かされるんだ?俺は…
「今日、講義はいつまでで?」
「や、もう俺はこれから暇。高良さんは?」
「はい。私は今日は講義も特にありませんでしたので」
「は?じゃあ何で大学来てんの?」
「ここに来れば…貴志さんと会えると思いましたので……」
恥ずかしそうに呟く彼の姿に、毎度の事ながらキュンときた。
仕方なく高良さんの手を握った俺は、驚いた顔をする高良さんをそのまま引っ張って、大学を出たのであった。
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二人並んで駅までの道のりを歩く。
高良さんは本当に背も高いしスラッとしてて、同性の俺から見てもかっこ良い。うん。
ま、性格を知ってる俺からすればちょっと胡散臭いオーラが出てる気もするんだが、それは本人には内緒だ。
つか、すれ違う女の子達みんな振り返って高良さんを見てねぇか?
「貴志さん、こっちです」
「アレ?駅そっちじゃなくね?」
「私の家に、ご案内しますので」
いつもの笑顔でそう言って彼は優雅な仕草でタクシーを止め、運転手さんに名刺を渡して程なく、タクシーは出発した。
…ってか、普通名刺なんて渡すか?つか俺名刺なんて持ってないんだけど。
「…」
「このマンションの最上階が、私の部屋になります」
「…」
「…貴志さん?」
「…」
声が、出なかった。
このマンション俺も知ってるぞ。最近出来たばかりの超高層超高級マンションじゃねーか。やっぱり高良さんって何者なんだ?
「…貴志さん?参りましょう!」
ルンルン上機嫌でマンションの中に入って行く高良さんの後を、怖ず怖ずと着いて行った。
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