我慢できない 番外編 02.



太めのネクタイをシュッと大輔の後ろ頭に回す。そのまま目元を隠すように一周させて、あっという間に即席アイマスクの完成だ。

「ちょっ…響…ッ!!」
「何だ」
「やめ…コレ、外せって…!」
「本当に嫌なら自分で取ればいいだろう」
「両手の自由が利かねんだよっ!」
「っは、知っている」
「このっ…変態…ッ…!」

ラブホテルのベッドに転がる、手錠で両手を拘束されネクタイによって視界までもを遮断された大輔の姿。背徳的なその姿に胸の奥からじわじわと熱い感情が湧きだすのを感じる。
口では悪態をついてはいるものの、下着にべっとり染みついたカウパーともう立派に育ちきっているペニスを見る限り身体はもうとっくにその気でいるのだろう。
ふっと笑みを浮かべた俺は、まだ何もしていないのに勃ち上がって窮屈そうに震える大輔の分身を慈しむようにそっと触った。

「んッ…!」
「なんだ、やけに感度がいいな」

形を確かめるように撫で上げれば、大輔は身をよじって甘い息を漏らす。ほう、目隠ししただけでこんなにも敏感になるものなのか…

「や、…ひ、びき…っ」
「なんだ、どうした?」

視界が塞がれている所為で何処か心細いのだろうか、いつもよりもか弱い声色で俺の名前を呼ぶ大輔があまりにもいじらしく俺の瞳に映った。

「キス、して…」
「ふっ…大輔」

消え入りそうな声でこんな可愛らしい事を言い放つ大輔の薄い唇に、小さく笑ってそっと口付けた。リップ音を立てながら離した唇は俺の唾液で厭らしく濡れそぼり、心なしか安堵の表現を浮かべる大輔の頭を優しく撫でてから再度唇を押し付ける。

「んっ…んっ」

何度も舌を絡め合わせ濃厚なディープキスを重ねながら、片手で大輔のペニスをなぞって焦らす。その度に口から漏れる大輔のもどかしそうな吐息に、背中をゾクゾクとした快感が駆け上がる。

「…んっ…は、響…もうっ…」
「どうした…」

低く耳元で囁いてやるとピクッと肩を震わせた大輔は、もじもじと言いにくそうに「早く…」と零す。

「仕方ないな…」

大輔の下着に手をかけて手早くそれをおろしてやる。ぴょん、と擬音が鳴るかのように飛び出たペニスは硬く張り詰めて今にも射精しそうにビクビク震えている。
俺はふっと大輔から離れ、大輔の足元まで静かに移動した。

「響…?」

急に俺の気配が無くなったことに気付いた大輔が不安そうに声をあげる。
俺は無言のまま口を開き、剥き出しのペニスに唾液を落とした。

「んっ…な、何すんだ、よ」

つー…、と落ちた唾液は大輔の肉棒に綺麗にかかり艶めかしく光沢を帯びた。

「おい、なんか…喋ろよ…っ」

次に何をされるのかと不安げに眉を下げる大輔。俺はここでも声を発さずに黙ったまま大輔の下肢に手を伸ばし、太股を撫で上げる。

「んっ…」

快感でしっとりと熱を帯びた太股にそっと舌を這わせ、股関節の柔らかい部分をねっとりと舐め上げる。

「んあっ…あ、…ん…くすぐった…」

左右に身を捩って軽く抵抗する大輔の睾丸を舌でぐりっと刺激してやる。高い喘ぎ声を出して熱い息を漏らす大輔は、もどかしい刺激に我慢ならなくなったのか腰を振って股間を擦り付けてきた。

「ふっ…もう限界か?」
「おまっ、いい加減に……あっ…!も、ちょ…ほんっ…んんっ…!」

大輔の声は、俺がぱくりとその硬く反り返っているペニスにしゃぶりついたことによってすぐに甘い声に変わる。

「…んっ」
「あっ…あっ…ぁ」

くぐもった声が出てしまう。それも構わずに激しいフェラチオを続けていたら、大輔は珍しくもう達しそうなのか「離せっ」と焦ったように口にした。
一回出してやってもいいのだが、折角ラブホテルまで来たのだ。まだまだたっぷり焦らして楽しみたいというもの。俺は口角を上げて素直にペニスから口を離した。

「はっ…はぁっ…!」
「いい顔だな、大輔」
「ちょ…っ、そういうならコレ外せって!」
「視界が塞がれるというのは余計に劣情をそそられるだろう?今日のお前はいつもより淫猥だ」

ふっ、と鼻で笑ったのが伝わったのだろう。大輔は悔しそうに唇を噛み締めた。

「…マジ…変態…!!」
「なんとでも言え。口ではそんなことを言っていてもココは正直だぞ大輔。俺はそんなお前が心から愛おしくて仕方がない」
「〜…ッ」

こんな会話の最中も大輔の淫らな姿は変わらない。俺の直接的な表現に赤みがさす大輔の小さな耳たぶも、俺の言葉に反応するようにピクリと波打つ大輔の分身も、もうこいつの全てを愛してやまないのだ。嗚呼…本当に、堪らない……

「大輔、」
「んだよ」
「その状態のまま挿れることが出来たら、目隠しを取ってやろう」
「な"っ……」

些か一方的過ぎる俺の申し出にどんな反応を示すかと大輔を見つめれば、暫しの間悩んだらしい大輔が怖ず怖ずと「じゃあコレは外せよな」と交換条件を出してきた。ふっ、願ってもみない結果だ。
手早く手錠を外してやると、手首を軽く回して自由になった両手の感触を確かめだす大輔。

「ほら、俺はここだぞ」
「ん」

探るように俺の下半身に大輔の腕が伸びた。



* * *



「ん…んっ…ん」
「っは…本当に厭らしいな、大輔は」
「んむっ…黙れよ…」
「ふ、目隠ししたまま舐めるなんてさながらアダルトビデオのようだな」
「…っ」

自分のそこをはしたなく勃起させたまま俺のペニスを舐め、こんな言葉にまた反応を見せ大きくする厭らしい身体。

「気持ちいいぞ、大輔…」
「んっ…そうかよ…んっん」

大輔の頭をそっと撫でる。このまま腰を突き出してイラマチオをさせるのも良いな、などと考えながら髪に指を絡めて優しく梳いた。

「んっ…は、もういいだろ…」

俺の自身からぷはっと唇を離し大輔はごそごそと立ち上がろうとする。

「お前、何処に行く気だ?」
「どこって…」
「行かせない。俺の目の前で慣らして見せるんだ」

その腰をがしりと掴み、耳元で低く告げてやる。大輔は一瞬ぐっ…と詰まるような表情を見せたが、ここまできて引き下がる俺ではないと悟ったのだろう。渋々ベッドに四つん這いになった。

「み、見んなよ…」
「っふ、分かった」
「嘘付け!」




いつもそうして自分で弄ることがあるのだろうか、大輔はゆっくりと秘部に指をあてて慣れた手つきでその奥まった部分に指を沈めていく。

「んッ……」
「壮観だな、実にいやらしい姿だ」
「はぁっ…っせ…」

二本に増やされた指は器用にそこを掻き回し、動く度にぐちゅぐちゅと卑猥な水音を立てて俺の理性を崩そうと誘ってくる。



「…もう俺が限界だ、大輔…」
「はっ…え、んな…っあああ…!」

二人共まだ一度も熱を吐き出さずに所謂お預け状態のままで、こんなエロティックな姿を延々と眺めて…正直勃ちすぎて痛いくらいだ。極度の興奮状態に浸るのも実に官能的だが、そろそろ本格的に俺の理性が音を立てて崩れてもおかしくない。と、いうか本当にもう…限界なのだ。

「大輔……っ」

突き出された尻に俺の熱いものをあてがい、カウパーでびしょびしょに濡れた先端を擦り付けるように腰を振りながら徐々にその円らな地にズブズブと埋めていく。

「あぁっ…んあっ、あっ…」
「力を抜け…」

俺と大輔はもう何度も情事を繰り返している。それこそ数え切れない程に。それでも本来迎え入れる器官ではない場所に挿入するというのは慣れないもので、毎回大輔は辛そうに息を吐く。労るように大輔の背中から腰にかけてをそっと撫でてやれば、些か楽になったのか柔らかい吐息がふっと漏れた。――このタイミングだと判断し、そのまま奥まで挿入する。

「ん"んっ…っ!あ…っは、はっ…」
「くっ…凄い締め付けだ」

言いながらしゅるっと大輔の目元に巻かれたネクタイを解いてやる。自分で挿れてみろと言っておきながら我慢出来ずに挿れてしまったのだから俺も堪え性がないというものだ。

「…んぅ……響っ…」

やっと視界を遮るものがなくなって身軽になった首を回して顔半分だけこちらに振り向いた大輔の顔はいつにも増して赤く、その濡れた瞳には熱が灯っていた。



* * *



「ん…あ、」
「漸く起きたか」
「あ〜やべ寝てた」
「正確には気を失っていた、だ。全く仕方がないな、大輔は。フリータイムで帰る予定だったが泊まることにしたから、自宅に連絡しておけよ」

隣で目を擦る愛おしい恋人の頭を優しく撫でながら告げる。短く「ん」とだけ答えてスマートフォンを弄る大輔を横目で見ながら、ふっと目を細める。

「なっ、何笑ってんだよ」
「見ていたのか」
「なんとなく分かるっつの」
「ふ…あまりにお前が可愛いものだからついな」

上品な笑顔で目を合わせれば、照れ隠しなのか素直に恥ずかしいのかあからさまに目を逸らした大輔は「…腰、痛いんだけど」と拗ねたように言った。

「しょうがない奴だ」

俺はひとつ笑って、大輔の腰に手を伸ばした。



---fin---



思いのほか長くなりました L(・o・*)」この二人はエロ担当みたいなとこあるからなあ〜とか思っていたらもう止まらなくて!本編と変わって響くん視点なのも新鮮でよかったですむふふ。
雪月様、リクエストありがとうございました!



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