青姦


「な、たまにはいつもと違うコト、したくねぇ?」

馴染みのバーで飲んだ帰り、駅までの道を恋人である吉野と千鳥足で進んでいる時だった。
吉野は、往来だというのに人目を憚らず俺の手をそっと取り、指を絡めて恋人繋ぎにしたあとそう言って、ニヤリと人好きのする軽い笑みを浮かべた。



青姦



着いた先はここいらで一番大きい中央公園で、早朝や夕方には犬の散歩やウォーキングなどで沢山の人が行き交う桜並木のような長い道を、俺達は相も変わらず男同士だというのに手を繋いだまま、ぽつりぽつりと夜道を照らす街灯の明かりを頼りにしながら歩いていた。

まだ酔いも冷めてはおらず、首元を通る少しひんやりとした風が気持ちいいな…なんて、深いことなんかなんにも考えずに、ただただ歩いていたんだ。

「ここでいっかな…っと」
「なに?…っえ」

軽いノリで道から外れた茂みの中へ引っ張られる。
両端の植え込みと植え込みの間にある絶妙なスペースに連れ込まれて、目をぱちくりさせる俺に吉野はいきなりキスを仕掛けてきた。

「んむっ…!ちょ…っんんっ…!」

口を挟むスキすら与えられない激しいディープキス。熱い舌が俺の口内を掻き乱して、くちゅくちゅといやらしい音を響かせながら唾液を交換し合う。

アルコールのせいもあってか、ここが外だということも忘れて、わりとすぐにその気になった。だって既に下半身は反応しちゃってるし、自分から積極的に舌を突き出して絡めてるんだから…俺の理性もとことん弱いってもんだよね。

「メグ…その気じゃん」
「んっう……」

吉野が嬉しそうに微笑む。
そのままとさりと草に押し倒され、羽織っていた薄手のカーディガンを剥がされた。あらわになる首元に吸い付かれて、背中を快感がぴりりと走りだす。

「跡、つけていい?」
「…んっ、今更聞くなよ……」

ぢゅ、と吸われてから更にきつく吸い上げられて、くすぐったさと言い知れぬ気持ち良さに足をもじもじさせながら甘い息を吐く。

「んっ……」
「……ッ、メグ、エロい声……やーべぇ、興奮する」

首元を這っていた吉野の唇が耳元へと移動し、低い艶のある色っぽい声でそんなことを言われて、ぞくっと身体が震えた。吉野の方がよっぽどエロいって…。



「な、メグ……自分でシャツめくって、乳首いじってみせてよ…」

そのまま耳たぶをねっとりと愛撫され、劣情を揺さ振るようにわざと音を立てながら舐められたと思ったら、突然吉野はそう言ってニコリと笑みを浮かべた。

「えっ……、と…」
「やだ?」
「や…じゃ、ない……」

決して強要されているわけではないのに、何故か逆らえる気がしない。それは普段からエッチの時は若干Sっぽい吉野に今まで付き合ってきたからなのだろうけれど…
舌なめずりをしながら突き刺すような熱い視線を送ってくる吉野の前で、恐る恐るシャツを上までめくった。

「こ、こう…?」
「ん〜…もっと上げて、それ、口で銜えて。両手で乳首いじって?」
「ん、ん……」

言われた通りにシャツの裾を唇で挟み、両手で胸の突起をたどたどしく触ってみる。羞恥心が邪魔をして上手く吉野の顔がみれない。だって、こんなの…恥ずかしい……

「ほら、手止まってる。いつも俺がしてるみたいにグリグリってやんないと、ね?」
「ん、……ッ」

指先で弱々しく弄っていると、徐々にそこが芯を持って立ち上がってくる。ぷくんと立ったソコは先程よりひどく敏感で、人差し指と親指の先でくりくり触れるだけで気持ち良くて声が抑えられない。

「んっん……」
「メグ…超エッチ…自分で乳首いじって、下こんなパンパンにしちゃってさ…」

吉野の声がいつもより低くて、俺のこんな姿を見て興奮してるんだと思うと、ますます下半身がずくりと重くなる気がした。

「ズボンおろしてやるからさ、そのままそっちの手で下も自分でいじって?」

吉野は言い終わらぬ内にぱっぱと俺のベルトに手をかけ勢い良く脱がしてしまう。咄嗟の出来事にシャツを銜えていた唇を離して「ちょっと…!」と言えば、下着の上からそこを撫でるように触られて、俺のなけなしの抗議の声はすぐに甘い息に変わってしまう。

「メグが一人でシてるとこ見たい…見せて…」

まだ半勃ちだったはずの股間は吉野にやらしく撫でられてあっという間に硬くなり、いまや立派に下着を押し上げている。
俺はそっと、右手を下へ伸ばした。






「ん"っん…っ!んっぁ」
「メグ…声もっと聞きたい…って言いたいところだけど、もう少し抑えないと誰か通ったら聞こえちゃうよ…?」

バックの体位でガンガン良いところばかりを突かれて、甲高い声が引っ切り無しに口から飛び出てしまう。
挙げ句の果てには後ろからあらわになっている胸までコリコリ弄られたら、もう我慢なんかできない。

「んーっ!んっあっあ…ッ!」
「しょうがないなぁメグは……」

耳元で「もう俺も我慢できなそうだ…」と聞こえ、次いで耳たぶにくちゅりと甘い愛撫が降ってくる。
その間も吉野の手は器用に俺の両乳首をこねくり回していて、与えられる刺激の多さに頭が真っ白になりそうだ。
もう腰だってくだけてしまいそうで、木に手をついて尻を突き出しているこの格好もそろそろ限界かも知れない。

「あっぁ…あっ…!やっや…ん、激し…っんぁ…!」
「……っはっ……出そ」

そのうちに内部を擦る律動が速くなっていき、切羽詰まった吉野の声と、また一層と激しくなる前後運動についに俺も我慢できなくなって……

二人共ほぼ同時に、草むらに精子をびゅくびゅくとぶちまけた。



***



「な?たまにはよかったっしょ?」
「……もー…吉野ってばさぁ…」

初めてのアオカンを体験した俺達だったが、外という不慣れな状況の中案外上手いことできたかななんて妙に他人事のように思う。
それに、まぁ……たまにはああいうのもね、悪くない…かもしんない。し。ま、そんなこと吉野には言ってやんないケド。

タクシーに乗り込み隣でいつまでもニヤニヤしている吉野にキッと冗談で睨んでみせると、吉野は更に顔を緩ませて俺の腰に腕を回してくる。

「ちょっと…!運転手さんいるんだよ?!」
「いーっていーって、だいじょぶっしょ!」

身をよじり小声で抵抗する俺をよそに、どこからどうみてもカップルのような距離と雰囲気を作りだしては至極ご満悦そうな吉野。

ちら、とバックミラーに映る運転手さんの様子を窺うと、客の事情になどさして興味のなさそうなおじさんが無表情でハンドルを握っていた。



「……よーしの」

……――今日はもう少し箍を外しちゃってもいいよね?
だって俺達、ただの酔っ払いだし。
さっき、もっともっとこれよりスゴイコトしてきちゃったんだし。

「ん?どーした、メグん…っ!!」

無防備に顔を覗き込んでくる吉野の首に腕を回して、大胆に舌を絡めた大人のキスを仕掛けた。
予想通りノッてきた吉野は、俺の腰をグッと引き寄せ更に舌を吸い上げてくる。

「んっ…ん」
「…っん……んっ…はッ」

車内には、タクシー無線のガチャガチャした音に混ざって、ちゅくちゅくといやらしい水音と、俺達の荒い息遣いが響き渡る。

運転手さんもさすがに目を見開いてミラー越しに俺達を凝視していたけど、むしろ見せつけるようにして俺は更に舌を絡めることにした。



--end------------





【あとがき】

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ということで承りました!
ずっと(^q^)こんな顔しながら書かせていただきましたエロ…!
タクシーの運ちゃんもあんなホモカップルに会ったらラッキーですね!(笑)
お題提供ありがとうございました!

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