act.63
『っ…、中村…く…っ』
「イキそう?せんぱいイキそうなの?…ね、一緒に…」
事態は好転し、一周回ってとんでもないことになっていた。
――数分前に遡る。
ひょんなことが引き金になって、俺達はとんだ暴露大会を繰り広げていた。
「おっ、俺は…!もう先輩でしか抜けなくなっちゃってるのに…っ」
『なっ…かむらく…ん』
「せんぱ…っ、先輩は……」
『……やーばい。……な、中村クン』
はい?とぐずつきながら答えると、色香の滲むくぐもった声が低く囁く。
『…俺も、…だったりして』
きっと電話口の向こうで盛大に赤くなってるであろう先輩の顔を想像したら、無性にたまらなくなった。
あの天下の水沢コウが、多々ある推奨品を差し置いてまさか、まさか俺を…お、おかずに抜いてくれていたなんて。
先輩、俺で抜いたことあるかな?あったらいいな、と妄想して抜いたことすらある俺からしてみれば正に夢のような展開。
もしかして先輩、俺が思ってる以上に俺のこと………
「せんぱい」
『何…おま、笑うなよ?…これでもマジなんだから』
「んもっ、違いますよ。先輩のせいで俺、たっちゃったんですけど」
『ッ…!』
責任とってくださいとお願いしたら、ひどく照れているのか吃りながら了承の言葉が返ってきた。
「先輩とテレフォンセックスなんて夢みたいです」
『バッ!そーいうこと言うな!』
先輩はやっぱり、押されるのに弱いみたい。
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