「――っ!」
あぁ、またやってしまった。
もう何度目になるだろう。
「…ぅわ」
おそるおそる手で確認すれば、毎度のことながら自分の下半身はいつも期待を裏切ってはくれないことが分かった。
まだ起きぬけの冴えていない頭ではははと力無く笑い、また俺は意識を遠くに散らしていく――
「…ぃ…」
「に……!」
あぁ、なんだろう。愛する優の声が聞こえる気がする。ふふ、やっぱり夢の中だろうと声だけだろうと優は最高だな。声聞いてるだけで勃っちゃうよお兄ちゃん……
「にぃ!起きるの!」
ぺち、と頬に軽い衝撃を受けうつらうつらと目が覚めた。
「…ん…ゆう…おいで…」
無意識にそう手を伸ばすと、吸い寄せられるように目の前の小さな体がベッドの上に移動する。
「ん〜…ゆうあったかい…」
「もう…しょうがないなぁ」
抱きまくらにするようにぎゅううと抱きしめれば、満更でもなさそうなため息と共に背中に腕が回されて。
あぁ、なにこれ幸せ過ぎる…心の底からぽわわんと暖かくなるような安心感に満たされていく。
「にぃ」
その時、優の右手が何故か俺の股間に触れた。
「あっ…」
瞬間、思わず声が漏れてしまう。今そこに触ったらダメだ優、確実にデンジャラスな感じになっているか…
「ん…っ」
心の声も間に合わないくらい手早く下半身をぐりぐりとまさぐられ、予期してなかった事態に声が躊躇なく出てしまう。
今日はどうしたんだ優。ムラムラさんなのか?俺だってさっき優の夢見て夢精したばかりだってのに、そんな触られたりしたらもう我慢出来なくなっちゃうよ優…。
「にぃ…もしかして濡れてるの?」
「ん"?んん〜…」
もにもにと股間のあたりを弄り倒した優は、さも不思議そうな声色で俺を見上げた。
向けられる純粋な視線にいたたまれなくなった俺は、ゆっくりと明後日の方向を向きながら曖昧にごまかす。って全然ごまかしきれてないんだけど。
「なんで濡れてるの?」
「え、いや、これはな優」
どう説明したらすんなり分かってもらえるのだろうかと精一杯脳みそをフル回転させながら目を泳がす。
「にぃ〜…?」
純粋な目からじと目に変わった優は、僕怒ったぞと言わんばかりに頬を膨らまして(そうやって頬を膨らます優もまた可愛いな)、パジャマに手をかけ一気に膝上までそれを下ろしにかかった。あぁなんて強引で積極的なんだ優は…ってそうじゃなくて。
「ちょ…や、やめなさい優!…って…ぁ、ちょ…」
優がまじまじとぐっしょり湿った跡の残る部分を見始めて、強制視姦タイムに突入してしまった。
「おもらししちゃったの…?」
あぁそんな、可哀相なものを見る目で見ないでくれ…!おもらしより恥ずかしいというかこれはそのおもらしとは違ってだな優、いやいやそんな説明したってなんか言い訳がましいし…
「にぃ、全部見せて?」
くいくいと下着を引っ張りながら顔を覗き込むようにしてそう言われる。優からそんなお願いされて、拒否する選択なんて俺にはあるわけがない。
俺は今更ながらの執着心に駆られながら、ゆっくりと下着をずり下げていく。
優はじっくりと精子でべとべとに汚れたはしたない俺の股間を凝視して、至極甘い声でこう漏らす。
「にぃのここぐちょぐちょだね……」
ちょ、そんなAVみたいな台詞を…!あ、やばいまた勃ってきた。
「恥ずかしいから見ないでくれ…」
「なんで?にぃ、おちんちんおっきくなってきたね…」
あぁだからまた!そんなエロい台詞を一体何処で覚えてきたんだ優!けしからん本当もっとお願いします!
「優…」
「にぃ、なんかエッチな感じする」
優の目が劣情を孕んだ色っぽいものに変わり、するっと伸びた手が俺のもう立派に勃ち上がっているそれを握る。
「ぁ…優…」
「にぃ、エッチだね…」
優の方がよっぽどエッチだ。こんなやらしい手つきで触られて、そうじゃなくてもさっきまで優の夢見てたくらいなんだからもう俺そんなに持たな…
「…あっ…やばい出る」
「え?」
迫り上がってくる射精感を脳が確認するや否や、すぐさま先っぽからドクドクと熱が吐き出されていく。いい年こいて調節利かないとかどんだけなんだ自分……ってそんなことよりも今のこの状況がまずい。優の手もぐちょぐちょだし、俺の下半身もぐっちょぐちょだしっつか何より下半身丸出しだし、今この状況を誰か家族に見られでもしたらとんでもないことになってしまう。
「ごめんな、早く下行って手洗っておいで」
「一緒行こ?」
駄目だ臭いでバレてしまいかねん…!
「ほっ…ほら、お兄ちゃんパンツとかも着替えないといけないから、優先に行っておいで?」
「僕、にぃのお着替えも見たいな」
「なっ…」
ダメ?と聞かれて駄目と言える程、俺の理性はまともに機能してくれないらしい。
「ほら、早くお着替えして!」
「わかったよ…優」
-----end--