第7話




「――の好きなもんで」

びっ…くりした。心臓とまるかと。
お前が腹減ったとか言うから、俺はお前の為だけに規則違反の買い出しに出向こうとしたのに。
「食いたいもんは?」って聞いて、よもや「お前」とかそんなミラクルな答えが返ってくるなんて万に一つも考えてなかったよこのバカ!とか一瞬で色々考えたけども。
あー、俺の好きなもんでいいのね。あい分かりました。

「じゃコンビニ行ってくるわ」
「おー……」




「ほい買って来たぞ」
「ありがと高木すきー」
「おふっ…お、おう」

約10分後、先生達に見付からないよう決死の思いで最寄のコンビニまでダッシュした俺は、弁当やらお菓子やらのたんまり詰まったビニール袋を横田の頭上にちらつかせる。

俺への愛の言葉を呟きながらその袋へ手を伸ばす横田は、まるで餌付けされるネコのようで。
ふっ、と堪え切れずに噴き出す俺をじと目で見遣る横田もそれまた可愛くて。
あぁ、危険な思いをしてでも買って来てよかった。そう心から思う。

「なんふぇふぁらふんはよ(何で笑うんだよ)」
「お前食うか喋るかどっちかにしろ」
「ふーっ……」
「食うのが先なんだなそうだよな」

相当腹減ってたんだろう。むしゃむしゃと弁当に食らい付くその勢いが凄い。あっという間に弁当2つをたいらげてしまった。こんなに食う奴だったっけ。

飽きることもなくその様子を終始微笑ましく観察していた俺は、ごちそうさまのポーズをとってふぅと一息ついた横田と視線がかち合う。

「ごちそうさま」
「…ん。いつも思ってたけどお前すげー上手そうに食うよなー」
「そう?」

「そーゆーとこも好きだなー」

――あ。
言うつもりなんてこれっぽっちもなかったのに。
なにこんな流れで告白しちゃってんだ俺は。


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