第1話
「「……ぇえー!?」」
木々が赤い色を綺麗に付け始め、秋もいよいよ本番を迎えようとしているこんな晴れ晴れとした気持ちのいい朝。
よーし待ちに待った修学旅行だぞやっほーいとばかりバスに乗り込もうとした矢先に、俺の班のメンバー6人中、なんと4人が欠席したと担任から知らされた。
俺は隣にいる同じ班の横田と共に驚愕の叫びをあげたわけだが、その実心の中ではガッツポーズを掲げ、テンションは正に最高潮なのであった。
……作戦成功だ。松田、山下、佐藤、そして田中。みんなごめん!
キタコレ展開
――今日から、我らが国洋高等学校3年生の2泊3日の修学旅行が始まる。
うちの高校は男子校だけれど、都内でも有数のエリート学校で〜…なんてことはなく、まぁ平凡なランクの高校だったりする。
だから全寮制でもないし、修学旅行とかまじテンション上がる。
……もしかしたらお気づきになった方もおられるかも知れないが、俺の性的対象は男――つまり、ホモなのだ。だから男子校万々歳なわけ。
そして、この度の修学旅行でめでたく同じ班になることができた横田の事を、かれこれ2年程想い続けていたりする。2年って長いな、我ながら。
男子校はあっちもこっちもホモばっかり〜…なんてのは、やっぱりマンガとかアニメのBLの中の話なわけで。
実際はみんな一様に女に飢えている。もう凄まじい程に。
今回の修学旅行だって、隣の女子校の修学旅行と日程がかぶってるとかなんとか、それが何よりもテンション上がるとかみーんな口を揃えて言ってんだからさ。ったくちゃんちゃらおかしいよ(俺が)。
俺にとっては今回の修学旅行、風呂とか風呂とか風呂とか、あと消灯時間の後のいちゃいちゃ…じゃなかったマクラ投げとか、色々楽しみ過ぎて吐きそうだってのに。
まあでも、何より俺が楽しみなのは横田がいるからなんだけどね。うん。間違えて横田が修学旅行欠席なんかしちゃったら楽しみも九割減というかむしろ行く意味ねえぇぇ!となるのは必須なので、横田に修学旅行前日にぐっすり眠れるよう、快眠グッズ(アロマとか、ヒーリングCDとか、ホットアイマスクとか)を一通り献上して、あと当日寝坊したり熱が出ちゃった!なんてことのないように、厳重注意及びモーニングコールもさせてもらった!
そのおかげかちゃんと横田も集合時間の10分後くらいには来たし、寝ぼけまなこで髪ぼっさぼさで登校してくる横田も可愛かったからグッジョブマジ良かった!
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