第13話




「…た、かぎ」

蚊の鳴くような小さい声で俺の名前を呼ぶその横田の顔は、暗がりでも分かるくらいに上気していて、一言でいうならそう、エロい。

「横田、お前」
「……な、何も言うな…よ」

恥ずかしそうに体を丸めながら片手で自分の顔を隠すその姿は、ドストライクで俺の胸にキュンキュンと突き刺さってくる。



「おまっ、そ、そ、そ」
「……だ、からっ…」

何故俺がこんなにも吃りを利かせてしまったのかというと、そう。見てしまったからだ。うん、何かってナニだよね。横田くんのおっきくなってるナニ。もちろんスエット越しではあるんだけども、もうね、うん。とりあえず拝めてよかったです。

「な、」
「…しゃ、喋んなっ…てば…」

あーもうやばい。
この恥ずかしがってる横田が。
酒の抜けきらないこの体が。
修学旅行の夜というテンションが。


「て…」
「て?」

あー、どうしよ。
言っちゃっていいかなー…大丈夫かなー…このあとの友人関係続けられっかなー…。つか俺、暴走しそうだ。やばい。

あー、でもやっぱり。



「て…手伝おう、か?」
「……高木」

言っちゃった。言っちゃったよおい。自分の口!こんなにお前が尻軽だなんて俺ぁ聞いてないぞ!でもよくやった。よくやったよ俺。もうここまで言っちゃったんだ。あとはなるようになれだ!

「高木、」
「はっ、はい…!」
「……目、血走ってるよ」

うほっ。


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