攻め→→→→→←←受け


オレの恋人の悟(サトル)は、それはそれは見事にツレない奴である。絵に書いたようなそのツンデレ具合が逆に凄くグッジョブで堪らないところではあるんだけどね。ツンデレ最高!ツンデレ萌え!



攻め→→→→→
     ←←受け




そんなTHEツンデレな悟とはクラスが同じで、まぁいわゆる『今まで友達だと思ってたのにいつの間にか好きになってた』みたいな流れで付き合うことになった。
まぁオレは、黒髪で薄い胸板、いつも虚ろな表情、病弱っぽいその頼りなさげな悟の姿に、第一印象からノックアウトされていたんだけど。

まぁなんやかんやで付き合うようになったオレ達だけど、オレ達が付き合ってることを周りにバレたくないらしい悟は、学校内で異常にオレと距離を計ろうとするんだよね。




「おーい悟!いっしょ帰ろっ」

ホームルームが終わって約十秒。速効で帰り支度を済ませたオレは一目散に悟の元に駆け寄る。
ついいつもの癖で悟の肩にぐいっと腕を回すと、何故か勢いよくオレの腕が宙を舞った。

「ちょっ…悟?!」

すごい勢いで振り放されたオレの腕は、寂しそうにオレの脇に戻ってくる。
若干冷や汗をかきながらも、恐る恐る悟の顔をチラリと覗き見てみると、デフォルト無表情なはずの悟の眉間にうっすら皺が寄っているのが確認出来た。うん、悟怒ってる。

「……学校でベタベタするなって言ってんでしょ」

ぼそりとオレにだけ聞こえる声でそう言うと、「…早く行くよ」と続け、カバンを持ってスタスタと歩き始めてしまう。嗚呼、そんなそっけない態度も何故かオレには微笑ましく見えて、顔の筋肉を緩ませながら急いで悟の後を追った。





「なー悟!」
「なに?」
「来週の土曜日って何の日だー?」
「え……何?」
「んもう何忘れちゃってんの!?」
「何の日だっけ…」
「んまぁいいや!いいけどとりあえずその日は空けといて!」
「やだ」
「嫌とか言うなよ!愛するオレの為にさ!ねっ!?」
「……えー…」

とか言いながらも、スマホのスケジュールアプリの来週の土曜日んとこに印を入れていることを知ってるぞオレは。口では素っ気なくしてるつもりだろうけど、そんな攻撃はノーダメージなんだぜ悟君!





――きたる土曜日。
そう、何を隠そう今日は悟君の誕生日なのだ。あいつ「何の日だっけ?」とかとぼけてたけど、普通自分の誕生日なんか忘れないよね?いや別に忘れてたっていいけどね、オレがその分精一杯祝ってやるからね!

というわけで、オレは昨日の夜から張り切って部屋の装飾に勤しんでいた。折り紙をハサミで切ってノリで貼る輪っかの、あの『パーティー仕様飾り』みたいなやつを壁一面にはり巡らせて、部屋の中央には『悟くんHAPPY BIRTHDAY』ってポスカで書いた大きな紙を貼って、もちろん誕生日ケーキもプレゼントもばっちり用意した!

そんな折、悟の来訪を知らせるピンポンという機械音が家に響き渡った。オレは慌ただしく階段を一段飛ばしで駆け降りて、玄関のドアを開けにかかる。

「いらっしゃい!」
「…ん」

オレからのラブラブ光線全開なお出迎えをものともせず、しれっと玄関に上がる悟。うんうん、そして悟の脱いだ靴を揃えるのっていつもオレだよね!いやいいんだけどね!

小さく「お邪魔します」とだけ呟いた悟は、とくにオレに確認もせずにズカズカと階段を昇っていく。階段を昇ったすぐそこの部屋がオレの部屋で、言わずもがな悟の為に用意したお祝い仕様になっている部屋である。

いやぁ緊張するね。うん、緊張する。これで悟君無反応とかだったらちょっとオレへこむかも。
そんな不安を抱えながら、そして若干手汗をかきながら、悟の後を追うように階段をのそのそと亀のようにゆっくり昇っていった。


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