『知ってるよ』



「あのさ」
「うん」
「オレ……」
「うん?」
「お笑い芸人になろうと思うんだ!」
「ふーん」
「ふーんて!」
「何、今のつっこんだつもり?」
「いや、違うけど……その……」
「なったらいいじゃない」
「え?」
「お笑い芸人。なったらいいじゃない」
「あ、あぁ、うん。そう、ね」
「ま、がんばりなよ」
「はい、がんばります」
「うん」

「あのさ、」
「なに?」
「えっと……」
「なんなの?」
「アレ?もしかしてオレのこと嫌い?」
「そんなことはないけど?」
「そうか…」
「で、なに?」
「い…、いや…あのさ……」
「相方になるなんて絶対嫌だからね?」
「はうっ!!」
「なに、そんなこと頼もうとしてたの?この僕に?」
「あ、はい…」
「ふざけるのも大概にしなよね」
「ごめんなさい」
「もう、まったく……」
「(あ、プンプンしてる…可愛い…)」
「なに?!」
「え?!今オレ心の声出てた?」
「は?なんなの?」
「あ、聞こえてない…?まぁ聞こえてないならいいけど……。あのさ、相方がダメならさ、あのさ、」
「?」
「付き合ってくんない?」
「は?なに言ってんの?もう今日は散々付き合ったでしょ?買い物」
「あ、買い物のことじゃなくて…その……」
「なに?違うの?」
「好き、なんだけど」
「うん、知ってるよ。痛い程知ってる。もうどんだけってくらい好きじゃない、買い物」
「あーうん。買い物のことじゃなくて」
「もー何なのさっきから!歯切れ悪いなぁ」

「だから!!オレは!!お前のことが………好きなんだよ…!!」
「…ふふっ、だから、知ってるよ」
「え?」



---fin---




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