高良明人さんにプレゼント



――何で、何で俺はこんなの書いてるんだろう。

そんな事を考えつつも俺は、ただボーっと自室のテーブルに向かっていた。

今日は大学も休みで、かといって特にやることもなくて、気付いたらテーブルに無造作に置きっぱなしの白紙のルーズリーフが埋まってた。
…埋まってた、っていうか自分で書いて埋めたんだけど…自分が無意識にここまで書けるとは全く恐ろしいものだ。

その紙には『高良さんの好きなとこ:強引なとこ、大人なようでどっか抜けてて可愛い、エロい…』とか、あとごにょごにょっと色々書いてある。

あー、自分で見返すと恥ずかしさが増すわ。なんだこれ。自分でも思ってもいない内に、高良さんの事結構好きになってたんだな。
…ま、いいや。

――ピンポーン

気持ちを切り替え、くわっと欠伸とした丁度そんな時、家のチャイムが鳴った。
ったく、誰だよ。訪問販売とかそんなもんだろどうせ。そういう類のもんは無視が一番良いと決まっている。

あー、もしあの時、高良さんの誘いを本当に断っていたら、今頃俺はどうしてたんだろう。

――ブー、ブー

なんとなく思いに耽(ふけ)っていると、今度は携帯が鳴り出した。パッと点いた画面には『着信:高良明人』の文字。
なんとなくぎょっとして、急いで電話に出てみれば何の事はない、今玄関の外に居る訪問者は高良さんだった訳で。

部屋に招き入れると高良さんは「何か暖かいものが飲みたい」と言うので、俺はよいしょと立ち上ってキッチンへ珈琲を煎れに向かった。

――約三分後。マグカップ二つを中身が零れないようにそっと部屋へ運び終わった時の事だ。
コトンとコップをテーブルに置いた寸での先に、さっき俺が無意識に書いてしまったルーズリーフがそのままの形で置いてある事に気付いてしまった。


「わわっ!」と俺が素早くその紙をくちゃくちゃに丸めるも、「どうしたのですか、そんなに慌てて」と奴は黒い笑みを浮かべている。


「もしかして…」

「見ちゃいました」


あー、やっぱり。


「ふふふ、とりあえず貴志さん、今日は泊めて戴けますか?」


今日の夜は、長くなりそうだ。


■誰に?
高良明人 (妖しいアルバイト)
■何をあげますか?
貴志君が、明人のどこが好きか走り書きしたメモを偶然にも目にする!


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