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とある休日の夜―――

急に和哉から電話が掛かって来て何かと思えば「今すぐ会いたい」なんて思わず顔がにやけてしまうような嬉しい事をぬかすもんだから、風呂上がりで髪も半乾きな事も忘れて俺は急いで自宅の玄関を出るはめになった。
あ、やっぱり髪ちゃんと乾かしとくんだったな。さみぃ。


歩いて程なく着く距離にある和哉の家は一階の電気が暗いままで、二階にある和哉の部屋であろう部分の電気だけがこの薄暗い道を照らしていた。

あれ、今日は和哉だけなんか?まぁいいや。急に電話なんか寄越して来てビックリしちゃったじゃんか。何事だろう。嬉しいけど。

そんな事を考えつつインターホンを鳴らすと、パタパタと階段からの足音と共に勢いよく玄関のドアが開かれた。

…って、アレ?これ何て言うんだっけ、デジャヴュ?



俺と親友と クリスマス番外編



「えと…もしかしたらもしかしなくても…………サンタ、ですか?」


まぁ見れば分かる事ではあるのだが、今目の前に立っている俺の恋人(男)が身に纏っているのは紛れも無くあの、赤い色のサンタクロースの衣装(女物←ここ重要)なのである。

思わず漏れた俺の問いに「ふふふ!どう?どう?」とまぁご機嫌な様子でその場でくるっと一回転し、360度その格好を見せ付けられた後で、ここはまだ玄関先で、もしかしたら近所の人に見られてしまう可能性が0では無いという大事な事実を思い出した俺は、急いで和哉をほらほらと奥へやり、パタンと静かにドアを閉める。


「お前、近所のおばちゃんとかに見られたらどうすんだよ!」

「えー大丈夫だって!忘年会の出し物位にしか思われないよ」


俺の必死の訴えもしれっとそんな感じで躱(かわ)されてしまった。こいつ変なとこで常識人ぶるくせに、こういう大事な時に抜けてんだよな。全く。つか忘年会って何だ忘年会て。健全な高校生が使う言葉じゃないだろ、ましてや和哉が。…全く。

それに、こんな和哉の可愛い姿を見て良いのは俺だけの特権な筈だ。そこんとこもっと分かって欲しいもんだよなー、っと惚気もそこそこに、俺は促されるまま和哉の部屋へ向かった。


あとこれは余談だが、よくよく考えてみたら明日、いやもう夜中の0時過ぎたから厳密には今日は、12月24日恋人達のクリスマス・イブなのであった。今思い出したんだけどな。

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