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ふん、ふんふん♪
ふふふーん、ふんふん♪

明日は優の大好きなハロウィンだ。デコレーションがしてある可愛いパンプキンケーキは予約してあるし、部屋を飾りつける電球やら何やらは優に見付からないように押し入れに隠してある。あ、勿論10月31日の有給休暇はバッチリ取ってある。当ったり前だよね!

俺は軽妙な鼻唄と共に、明日のハロウィンについて脳内シミュレーションの真っ最中だった。


――優が学校から帰って来たら、意気揚々と(いつもの事だが)お出迎え&お帰りのチューをして、部屋でいちゃいちゃして、両親が帰って来て夕飯を食べ、優がお風呂に入ってる間に部屋の装飾!

そして、優が何も知らずに部屋に戻って来て、ピカピカの可愛い部屋に優ビックリ!キラキラの可愛いケーキに優感動!「にぃすごい!大好き!」と優が抱き着いてくる、と。

よし、『優にすごいって言わせるぞ大作戦』に決定だ。略して『優すご!』うんうん。

そんなこんなで、ベッドへダイブして「お菓子をくれなきゃイタズラしちゃうぞ!(性的な意味で)」とか言って優をめちゃめちゃにする妄想を繰り広げ、優のチョコバナナを食べてー…ふふふ……ははは………あー楽しみだ。

と妄想しつつ、自分の膨れ上がったチョコバナナの処理をいそいそと済ませ、いよいよ明日の決戦が始まります。ハァハァ。



弟Festival ハロウィン番外篇



――そして決戦当日。


今、俺は口をパクパクさせながら優と見詰め合っている。差し詰め鳩が豆鉄砲喰らった様な顔をしている事この上ない。


俺はシミュレーション通り、優が風呂に入ったタイミングを見計らって、いそいそと部屋の装飾に勤しんでいた。
その時ふと後ろからの視線と若干ドアが開かれた様な気配を感じ、まさかと思いながら胸とチョコバナナを膨らませ恐る恐る振り向くと、白い着ぐるみみたいなお化けのコスプレの衣装に身を包んだ優が、ドアの隙間からちょこっとこちらを覗いているではないか。

ちょ、ちょちょちょちょちょ!何この可愛い生き物は!可愛い可愛い可愛いハァハァ。今すぐパクってしちゃいたい。
っていうか優、いつの間にそんな…コ、コスプレプレイだなんてお兄ちゃん聞いてないよ!ん〜っ萌える!

一瞬にして頭の中に卑猥な妄想と、俺をびっくりさせてやろうと考えてくれた優への感謝の気持ちが溢れてくる。


「…にぃ」


早くドアを開けて入ってくればいいものを、恥ずかしいのか優は未だ薄く開いたその細いドアの隙間から俺をそー…っと覗き込んでいる。あぁ可愛い。


「…とりっくおあとりーと」

「ゆ、ゆゆゆ優…!」


俺の中で最上級のとびっきり麗しいであろう笑顔で優を見つめ、両手を開いてこちらへと諭す。トリックオアトリートだなんて難しい英語、どこで覚えて来たんだ優!偉いぞ優!そして可愛いぞ優!


「…お菓子くんなきゃ、にぃにイタズラしちゃうんだもん」


ぼそっとそう言うと、タッタッタと走ってきて恥ずかしいのか俺の腕の中にすっぽり納まってぎゅうぅっと抱き着いてくる優。はああああああぁもうこれは!もう!たまらん!

お兄ちゃんやられたよ。優、大好きだ。愛してる。
こんなに可愛くて大好きな優をもう一生離すまいと心から、本っ当ーに心から思った、そんな幸せなハロウィンの夜。





---fin---




あ と が き

ハロウィン用の番外編。
優君は優君なりに一生懸命考えて、お兄ちゃんを喜ばせてあげようとがんばりました。でもまだやっぱりちょっと恥ずかしいみたいなところが伝わってれば良いな。


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→まだまだ続きます

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