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風呂から揚がろうとした矢先、和哉が「先に出てて」なんて言うもんだから、あいつこの場に及んで風呂掃除でもすんのかな位に思いながら先に風呂から出て、備え付けのバスローブを着た。
うおぉ、バスローブ良いな。なんてウキウキしながらソファに腰掛けて約十秒。俺はハッとした。あいつ、もしかしたらもしかしなくても…!
急いで風呂場の方へ駆け寄り、ドアを開こうとしたその時、和哉からの「あー!ダメ!絶対開けないで!」という言葉と共に、ピシャリとドアに鍵が掛かる音が虚しく響き渡った。
あぁ、一緒に準備したかったいや、するつもりだったのに何て失態だ。ごめん和哉!
そして何でビジネスホテルの風呂場に鍵が掛かるんだコンチクショー。
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「お待たせ…」
その後何分かして、少し照れ臭そうに頭をかく素振りをしながら、和哉が戻ってきた。
俺は和哉を待つ間中ずっと、申し訳ないやらワクワクやらで悶々としていたもんだから、思わず和哉の側まで駆け寄って頭をくしゃくしゃに撫でた。
「もう…翔ってばぁ」
「んー…!…かずや!」
「…はい!」
首を傾げ、まるで仔犬のように可愛らしく俺を見詰めてくるこいつを、俺は本当に、本っ当ーに大切にする。
そう心に誓い、決意の表情で微笑み掛けた後俺は、ひょいっと和哉を持ち上げてお姫様抱っこでベッドまで運んだ。
「わわっ!ちょっと翔!」
「姫、お静かに」
俺が低く囁いたそんな一言に、和哉の顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていくのが分かる。
これから、俺達は本当に姫と王子の契りを交わすんだ。
…って、ちょっと中二臭い事の一つでも言わせてくれ。
ここから先は、俺達だけの秘密だからな?
---fin---
あ と が き
「えっち」がテーマなのに肝心の一番大事なところを濁すとか…!しかもかなり中二くさい台詞を言わせてごめんね翔君。
…すみませんリベンジしたいです。
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→「俺と親友と」まだまだつづきます★
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